カラーグレーディングを実践|カラーコレクションとの違いも

カラーグレーディングを実践|カラーコレクションとの違いも

カラーグレーディングってなに?

カラーグレーディングって、ちょっと難しそう…なので、見てみないフリをしたいけど、そうもいかない。

なぜなら、動画編集で「カラーグレーディング」はとても重要な作業だから。

というわけで、今回の記事では、カラーグレーディングとは何か?を実際にPremiere Proを使って、カラーグレーディングの基礎を調査してみました。

ぜひ、最後までご高覧ください。

目次

カラーグレーディングの前にカラーコレクション

カラーグレーディングの前にカラーコレクション

まずは、カラーグレーディングの前に、カラーコレクションをしておく必要があります。

カラーコレクションとは色補正です。

このカラーコレクションをして、事前に撮影素材を均一しないと、カラーグレーディングしたときに、色調にバラツキがでてしまうため、です。

カラーコレクション|色調整の順番は?

そして、カラーコレクションで大切なのは、色調整する順番です。

次の①〜④の順番で、処理をしていきます。

①シャドウ部
②ハイライト部
③ミッドトーン部
④色調整

共通する基本的知識として、0=真っ黒で、100=真っ白というのを頭に入れておいて下さい。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

3つのトーン(波形モニター)
STEP

シャドウ部

シャドウ部の調整

まずは、シャドウ部(0〜30)を調整します。

そして、波形モニターを見ながら、限りなく『0』に近づくように調整します。

STEP

ハイライト部

ハイライト部の調整

次に、ハイライト部(60〜100)を調整します。

こちらも波形モニターを見て、ハイライト部を限りなく『100』に近づけます。

STEP

ミッドトーン部

ミッドトーン1
ミッドトーン2

その後、中間部ミッドトーン(30〜60)を調整。

この領域は、上げ下げすることで、時間や天候などの雰囲気を調整できます。たとえば、全体が明るくなったり、暗くなったり、朝っぽく、夕方っぽくなり、します。

なので、朝っぽくしたいなど、狙いがなければ、特にいじる必要はありません。

STEP

色のバランスを整える

色バランスを整える1

つぎに、RGB各色のバランス調整をします。

ここでは、RGBパレットを使って、各色の波形が同じになるように調整します。

さらに、LumetriカラーのRGBカーブで、それぞれのカーブを調整して、波形の形を整えます。

参考:そのほかのやり方もある

ホワイトバランスのスポイトを使った
バランス設定も可

色温度と色かぶり補正を使ってもOK

色温度と色かぶり補正を使ってもOK

STEP

彩度を調整する

彩度を調整する

また、彩度の調整、ベクトルスコープを見ながらやります。

ここでも、Lumetriカラー・クリエイティブの『彩度』スライダーを左右に動かして調整します。

ベクトルスコープの枠をはみ出すと、色がつき過ぎているサイン。なので、はみ出さないように注意です。

STEP

全ての素材をコレクションで調整

❶〜❺までの作業をタイムラインのシーンすべてでおこないます。この後、グレーディングで大きな差異が出ないようにコレクションを行います。

カラーグレーディングをやってみる

カラーグレーディングをやってみる

いよいよ、今日の本題、カラーグレーディングです。

まずは、新規の調整レイヤーを用意します。そして、シーンごとにコレクションした映像にまとめてグレーディングしていきます。

カラーグレーディングには、3つのやり方があります。それは

  • LUTを当てる(あらかじめ設定された数値を持つ『LUT』を使う)
  • マニュアルでやる
  • LUTを当てて、さらにマニュアルで調整する

です。

ここでは、マニュアルでの調整方法を下記ご紹介します。以下、手順です。

(1)全体の調子をS字カーブで作る
(2)RGBのカーブも同様に調整
(3)色相VS彩度をいじってみた
(4)カラーホールとカラーマッチ
(5)HSLセカンダリー
(6)【必殺技?!】最後にビネット

編集長

いろいろやらないといけないんだね

編集部ディレクター

面倒な人は、自分好みのLUTを見つけると、簡単にできますよ!

>> おすすめの無料LUT10選|LUTとは?基本的な使い方も紹介【動画付き】

(1)全体の調子をS字カーブで作る

RGB全体カーブ1
RGB全体カーブ2

まずは、全体の調子をRGBカーブで作ります。RGBカーブを表示したら、3つの点を作ります。

このとき、一番下がシャドウ、一番上がハイライト、真ん中がミドルトーンでしたね。

最初に、全体の調子を作る白のカーブで調整します。

つぎに、シャドウを下げ、ハイライトを上げて、S字カーブを作ります。こうすることで、濃い部分はより濃く、薄い部分はより薄く、コントラストが付きます。

(2)RGBカーブも同様に調整

RGBカーブ1

その後、RGBをそれぞれ個別に調整します。

同様にトーンカーブに3つの点を作って、RGBパレードの波形を参考にしながら、調整します。

RGBカーブ2

カーブをS字に、と書きました。が、どうしてもこだわる必要はありません。

なぜなら、カラーグレーディングは、色による映像演出だから、です。

つまり、見る人が不快にならなければ、どんな色になっても良いのです。なので、いろいろいじって、理想の色を見つけてください。

(3)色相VS彩度をいじってみた

さらに、選択した部分の色だけを変える機能です。

ここでは、人物の肌色はそのままにして、それ以外の彩度を下げてみました。

また、スポイトツールを使って肌に当ててみましょう。すると、その部分に該当する部分に点が付きます。そうしたら、そこを残して動かしてみましょう。

色相VS彩度1
人物以外の彩度を控えめに
色相VS彩度2
元の映像

その結果、バックの彩度だけが控えめになり、人物を浮き上がらせる効果があります。

(4)カラーホイールとカラーマッチ

カラーホールとカラーマッチ

つぎに、シャドウとハイライトのホイールをいじってみました。

これも『絶対に正解』がある訳ではありません。ですので、自分の好みで、かつ不快にならない色を目指します。

前述した3つの機能を、RGBパレードの波形を見ながら、いろいろ動かしてみましょう。

(5)HSLセカンダリー

HSLセカンダリー1

この機能では、選択した部分のみ、調整することができます。

写真の例では、肌色(スキントーン)を選択して調整しています。

ベクトルスコープを参考にして、選択をしてみましょう。

HSLセカンダリー2

全体の明暗を調整しても良いし、カラーホイールで調整してもOKです。

また、選択部分との境界線を『ブラー』を使って馴染ませることも可能です。

(6)【必殺技?!】最後にビネットをかけてみる

ビネット

さらに、外側をぼかす効果があります。結果、中央の被写体を浮き上がらせます。

やるとやらないとでは、全然違う!

一度、使ってみると便利なので、クセになる機能です。

>> Premiere Proカラーグレーディング無料体験してみる

カラーグレーディングとは?

カラーグレーディングとは?

ここまでで、カラーグレーディングのやり方を説明しました。

が、そもそもカラーグレーディングとはなんぞや?ということも、補足として記載しておきます。

なぜカラーグレーディングをするのか?

まず、カラーグレーディングとは、映像に色彩補正を施す作業です。

つまり、色調を使ったです。その多くは、ストーリーや登場人物の心情変化に応じて、映像の色彩を変化させます。そのことで、作品の雰囲気を作るのです。結果、ストーリーや作品の方向性、臨場感などを演出します。

概要目的できること
カラーグレーディングとは?映像に色彩補正をする作業色調で作品の雰囲気を演出するシナリオやストーリーを補強し、観客や視聴者に与えたい印象をコントロールする

たとえば、幸せや喜びを表現するシーンなら明るく華やかに。さらに、恐怖やホラーなら暗く重苦しくなるように色彩補正します。

食品を扱ったCMなら、料理が美味しく見えるように、カラーグレーディングを施したりします。

編集長

映像の色彩とストーリーがリンクさせて雰囲気を作るってことだね

編集部ディレクター

そうです。観客や視聴者を感情移入させやすくできる点がメリットです

カラーグレーディングを施した作品例

カラーグレーディングを施すと、具体的にどんな映像になるのか?

ここでは、3つの例をご紹介します。

カラーグレーディングの映像一例

ララランド(2016年)

2019年 JOKER -ジョーカー

JOKER -ジョーカー(2019年)

2019年 Diner ダイナー

Diner ダイナー(2019年)

色調を変化させることで、作品の雰囲気が伝わって来ますよね。

カラーグレーディングとカラーコレクションの違いは?

前述したカラーコレクションは、カラーグレーディングと間違いやすく注意が必要です。

編集長

名前が似てて混同しそう。それとカラーコレクションって必要あるの?

編集部ディレクター

カラーコレクションして、事前に撮影素材を均一しておかないと、カラーグレーディングしたとき、色調にバラツキがでてしまうんです

作業名内容
カラーコレクション色補正=正しい色にする。
カラグレをする前工程で、素材によって、色味や明るさの違いが出ないように調整しておく作業しておく。
撮影の進行と時間経過により発生する
●明るさ(コントラスト)
●色味の違い(ホワイトバランス)
を調整しておく。
●技術的な側面が強い
カラーグレーディング色の演出。
木工に例えると、カラグレは最後の塗装工程。
元の素材をカラーコレクションで色補正で、均一にしておかないと、同じ数値を入れたときに、狙った色に映像が揃わないので注意。
●芸術性や独創性が求められる
●個性が出やすい

カラーグレーディングの基本・Log素材とLAW素材

カラーグレーディングの基本・Log素材とLAW素材

カラーグレーディングは、どんな撮影素材に対しても施すことができます。

しかし、それを前提に撮影した素材の方が、色の演出の自由度は、高くなります。

そこで、2つの比べてみましょう撮影時に、カメラに色味を任せて撮影した素材。もう一つは、色味の調整を抜いて撮影した素材です。

Log素材とLAW素材|カメラの調整あり
調整あり
調整なし
編集長

カメラに調整を任せた方は、いつも通りの色って感じだね

編集部ディレクター

Log撮影したものは後から色をつけるのを前提にしています。なので、最初はグレーっぽいんです

LAW素材とLog素材

また、カラーグレーディングを前提にした撮影素材には、2つあります。

Log素材とRAW(よみ:ろう)素材です。

編集長

2つともカラーグレーディングを前提しているデータだよね?

編集部ディレクター

はい。あとから色調を変化させるには、それ用に撮影されたLogやLAWのデータの方が、色を付けやすいんです

RAW素材とは?

まず、RAW(よみ:ロウ)素材について、です。こちらは、圧縮がない純粋な動画素材の形式です。

カメラのイメージセンサーに映った明暗をそのまま保存したデータ。生データともいう

  • そのままでは使えないので、データで現像する必要がある
  • 色調補正やシャープネス、色のバランスなど、データのすべてを調整可能
  • 圧縮されていないので、その分データ量が重たい

RAW素材は、データの純度の高く、色での表現をたくさんする必要があるときに使用するけど、撮影データも重たいし、転送速度や、編集時間もその分長くなるので、せいぜい2〜3分のショート動画でないと使いづらいです。

動画制作でいえば、時間勝負のテレビとかで使われることは、ほとんどありません。

Log素材とは?

つぎに、Log(よみ:ろぐ)撮影された素材。こちらは、RAWデータよりも編集がしやすく、カラーグレーディングに適した素材です。

  • RAWデータのうち『色調』『彩度』『階調』を取り出して圧縮されたデータ
  • その分、RAWデータよりも編集できる部分は少ない
  • カメラメーカーごとに仕様が違う

後から色調整することを前提に撮影されている。色の幅を大きく設定している。

撮影時に、明るかったり暗かったり、変化が激しい現場や、モニターでの正確な確認が難しい場合には、Log収録のメリットがあり、映画やドラマ、CMで、使われることが多いです。

ちなみに、Logには、カメラメーカーごとの異なる仕様があります。

・SONY=S-Log
・CANON=C-Log
・Nikon=N-Log
・Panasonic=VSEO-Log

カラーグレーディング&カラーコレクションのおすすめ機能

カラーグレーディング&カラーコレクションのおすすめ機能

カラーコレクションやカラーグレーディングをする時にオススメの機能が3つあります。それは

❶波形モニター
❷RGBパレード
❸ベクトルスコープ

です。これらは、すべて、色情報を表示する機能です。

こちらも一つずつ見ていきましょう。

便利な機能❶波形モニター

波形モニター

波形モニターは、映像制作やカラーグレーディングの際に使用されるツールです。

画面内の輝度や色の情報を視覚的に表示してくれます。

このツールは、色や明るさのバランスを正確に調整するために欠かせない存在です。

機能内容
輝度(明るさ)の確認波形モニターは、映像内の輝度レベルをグラフ形式で表示します。縦軸が輝度(0~100IRE)、横軸が映像の画面位置に対応しており、どの部分が明るすぎる(ハイライトが飛ぶ)か、暗すぎる(シャドウが潰れる)かを一目で確認できます。
色情報の分析波形モニターにはRGBごとの色成分を表示するモードがあり、赤・緑・青の各チャンネルのバランスを調整する際に役立ちます。また、色情報がどの程度映像全体に分布しているかを把握できます。
露出の確認と調整映像全体の露出バランスを正確に把握することで、標準的な明るさを保ちながら、特定のシーンやスタイルに応じた微調整を行えます。
リミットの確認ブロードキャスト用の映像制作では、輝度や色成分が放送基準を超えないようにする必要があります。波形モニターは、これらの値が規定の範囲内に収まっているかをチェックするための指標になります。

利用シーン

  • 映像の色調補正(Color Correction)
  • 映像のトーンの統一
  • 特定のシーンに合わせたカラーグレーディング

波形モニターは、映像制作のクオリティを向上させるための必須ツールです。

たとえば、Adobe Premiere Proでは、Lumetriスコープとして提供されています。リアルタイムで波形モニターを確認しながら調整が可能です。

便利な機能❷RGBパレード

RGBパレード

3つの色がそれぞれ適正か?を見ることができます。

色が適正で、バランスが取れていると、R=赤|G=緑|B=青(本当はブルーバイオレット)|の波形が、同じような形になります。

Rが大きければ『赤っぽく』、Bが大きければ『青っぽく』なるので、バランスを整えるのに使います。

便利な機能❸ベクトルスコープ

ベクトルスコープ

ベクトルスコープも色の適正を見るのに便利な機能です。

色を6角形で表現していて、枠の内側に、波形が収まっていればOK。

逆に、枠からはみ出していると、色が濃すぎるサインです。

カラーグレーディングとは?まとめ

カラーグレーディングとは?まとめ

カラーグレーディングの概要から、Premiere Proを例にした、カラーコレクションやカラーグレーディングの基礎をご紹介しました。

Premiere Proには、Lumetri(ルメトリ)カラーという、カラーグレーディング用のツールが搭載されています。

LUTやLOOKによるプリセットを使ったカラーグレーディングも手軽に行なえ、効率的に作業できるのでおすすめです。

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!

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