カラーグレーディングをダビンチでするには?無料版でもできる?
動画の雰囲気を変えたい。けれど、設定も用語も難しそうで不安です。そこで頼れるのが、無料で強力なDaVinci Resolveです。
そこで、今回の記事では、
この記事で分かること
- カラーグレーディングとカラーコレクションの違い
- 無料版とStudio版の違いと選び方
- 基本ワークフロー(編集→カラー→書き出し)
- コレクション手順(WB・露出・コントラスト・スコープ)
- グレーディング手順(LUT・曲線・カラーワーパー)
- 部分補正(パワーウィンドウ・クオリファイア・手ブレ補正)
- よくある失敗と対策/導入スペックと設定のコツ
迷いを減らし、すぐ実践できる内容です。最後まで読めば、今日から“色”で作品の印象を変えられます。
1. カラーグレーディングをダビンチで|基礎知識編
映像制作において「カラーグレーディング」は重要な工程です。
色を整えるだけでなく、映像の印象や伝えたい雰囲気を大きく左右します。初めて聞いた方には難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえれば理解できます。
この章では、カラーグレーディングの基礎や目的、ダビンチでの効果を解説します。
①カラーグレーディングとカラーコレクションの違い
「カラーグレーディング」と「カラーコレクション」は、混同されやすい用語です。しかし役割は異なります。
以下の表にまとめると、その違いが明確です。
| 項目 | カラーコレクション | カラーグレーディング |
|---|---|---|
| 目的 | 撮影ミスの補正 | 映像の演出・印象操作 |
| 主な作業 | ホワイトバランス、露出、彩度の調整 | 色味の演出、雰囲気の統一、心理的効果の付与 |
| 位置づけ | 映像を「正しく」整える | 映像を「印象的」に仕上げる |
| 例 | 肌色を自然な色に直す | 夕日のような暖かいトーンを加える |
たとえば、同じ映像素材でも、まずカラーコレクションで肌色を自然に補正。そのあとでカラーグレーディングによって暖かみのある夕焼け風のトーンに仕上げる、といった使い分けができます。
②ノードを理解する
Davinci Resolveで、カラーグレーディングをする場合は、まずは「ノード」という概念を理解しましょう。
ノードを理解する:ノードとは?
カラーグレーディングの各工程を分けて管理できる機能。
例えば、「肌色」「明るさ」「ホワイトバランス」など、カラーグレーディングにおける操作をそれぞれ分離して管理できる。
③映像におけるカラーグレーディングの目的とは?
カラーグレーディングの最大の目的は「感情の演出」です。
色には心理的な影響力があります。たとえば、青みがかった映像は冷たさや緊張感を、暖色系は安心感や懐かしさを表現できます。これは、映画やドラマでも日常的に使われている手法です。
また、シーン全体のトーンを統一するためにも重要です。複数のカットをつなげる際、色味がバラバラだと視聴者の集中が途切れます。グレーディングにより、シーン全体に一貫性を持たせ、作品としての完成度が高まります。
さらに、登場人物の心情を色で補完することもできます。たとえば、キャラクターが怒りに満ちているシーンでは赤を強調したトーンを、悲しい場面では彩度を落とした寒色系で表現するなど、色がセリフ以上のメッセージを伝えます。
このように、カラーグレーディングは単なる見た目の調整ではありません。映像全体の「空気感」や「物語性」を視覚的に補強する演出手段なのです。
④カラー調整による印象の変化を比較
カラーグレーディングをダビンチでする場合、その効果は、言葉よりも「見た目の変化」で実感できます。
以下の例をご覧ください。
| パターン | 調整前 | 調整後(グレーディング) |
|---|---|---|
| 昼間の屋外シーン | 自然光のまま、全体がやや白っぽい | 彩度を上げて空の青を強調し、明るく鮮やかに |
| 室内の会話シーン | ややオレンジがかった暖色 | 寒色系に変え、緊張感ある雰囲気を演出 |
| 回想シーン | 現実と同じ色味 | コントラストを下げ、淡くノスタルジックに |
同じ素材でも、色の調整によって映像の伝える印象はまったく変わります。
視聴者の感情に直接訴える力があるのが、グレーディングの魅力です。
DaVinci Resolveでは、こうした効果をリアルタイムで確認しながら作業できます。しかも、無料版でもかなりの範囲がカバー可能です。まずは試してみることで、色の持つ力を肌で感じられるでしょう。
2. カラーグレーディングをダビンチで|DaVinci Resolveとは?
DaVinci Resolveは、プロから個人ユーザーまで幅広く使われている映像編集ソフトです。
特にカラーグレーディングにおいては、ハリウッド映画でも使われるほど高い信頼を得ています。
この章では、DaVinci Resolveの概要や無料版と有料版の違い、始める前に知っておきたいスペック条件を紹介します。
カラーグレーディングをダビンチで ①無料版と有料版の違い
カラーグレーディングのできるソフトにダビンチ(DaVinci Resolve)があります。ダビンチには「無料版」と「Studio版(有料)」があります。結論から言うと、初心者や中級者であれば、まず無料版で十分です。
以下に主な違いをまとめました。
| 機能項目 | 無料版 | Studio版(有料) |
|---|---|---|
| 価格 | 無料 | 48,980円(買い切り) |
| カラーグレーディング機能 | 基本機能はすべて対応 | 高度なノイズ除去、HDR対応など |
| 動画書き出し | 最大4K対応(制限あり) | 8Kや高ビットレートも可能 |
| GPUアクセラレーション | 一部制限あり | 複数GPUフル対応 |
| AIツール | 使えない | 自動顔認識、マスク追跡など高度なAI処理対応 |
無料版でも、カラーページの基本操作やLUT適用、カーブ調整など一通りの作業は可能です。
実際、多くのYouTuberや自主制作映像クリエイターは無料版を使っています。
ただし、高解像度の映像やノイズ除去、AI処理を求める場合はStudio版が必要です。特に仕事や商業映像で使うなら、有料版も視野に入れるべきです。
カラーグレーディングをダビンチで ②DaVinci Resolveが選ばれる理由
DaVinci Resolveが多くのユーザーに支持される理由は、総合的な「クオリティと自由度の高さ」です。
まず、カラーグレーディングに特化した「カラーページ」の存在が最大の魅力です。他の編集ソフトと比べても、色調整の自由度が圧倒的です。ノードベースという仕組みにより、複雑な処理も視覚的に整理しながら行えます。
また、映像編集(カット)、音声編集(フェアライト)、VFX(Fusion)など、すべてが統合されているため、他のソフトに切り替える必要がありません。これ一つで完結できるのは、プロにとっても大きなメリットです。
さらに、無料でここまで使えるソフトは他にありません。Adobe Premiere Proなどはサブスクリプション形式ですが、DaVinciは無料+買い切りというコスト面でも魅力的な選択肢です。
高機能でありながら、基本的な使い方は非常に直感的です。初心者でも数時間触れば基本操作は理解でき、使いこなす楽しさが実感できます。
カラーグレーディングをダビンチで ③必要なPCスペック
DaVinci Resolveは高機能な分、PCスペックの要求もやや高めです。
以下に推奨スペックをまとめました。
| 項目 | 推奨スペック |
|---|---|
| OS | Windows 10以降 / macOS 10.15以降 |
| CPU | Intel Core i7 以上(Ryzen 7も可) |
| メモリ | 16GB以上(Fusion使用時は32GB推奨) |
| GPU | VRAM 4GB以上の独立GPU(NVIDIA/AMD) |
| ストレージ | SSD推奨(HDDでは動作が重くなる) |
古いノートパソコンや内蔵GPUだけのマシンでは、まともに動作しないこともあります。とくにカラーグレーディングはGPUへの負荷が高いため、ある程度のスペックは必須です。
ダウンロードは公式サイトから可能です。「DaVinci Resolve」と検索すれば、Blackmagic Designの公式ページが表示されます。そこから無料版またはStudio版を選んでインストーラーを入手できます。
インストール後は、プロジェクトの作成画面からすぐに作業を始められます。チュートリアルも豊富なので、導入自体は難しくありません。
3. カラーグレーディングをダビンチで|まず何から始める?
DaVinci Resolveは高機能です。
そのため、最初に立ち上げたとき「何をどう始めればいいのか分からない」と感じる方が多いです。
この章では、プロジェクト作成から書き出しまでの一連の流れと、効率的な操作のコツを紹介します。
①カラーグレーディングをダビンチで|プロジェクトの作成と素材の読み込み
起動すると最初に表示されるのが「プロジェクトマネージャー」です。
ここで新規プロジェクトを作成します。名前を付けて「作成」をクリックすると、編集画面が開きます。
次に、素材の読み込みです。下部にある「メディア」ページを開き、フォルダから動画や音声ファイルをドラッグ&ドロップします。この操作で、クリップがライブラリに登録されます。
注意点として、素材のフレームレート(fps)がタイムラインと一致しない場合、警告が出ることがあります。この時は、プロジェクト設定で「タイムラインフレームレート」を素材に合わせるとスムーズです。
素材を準備したら、編集用の「カットページ」または「エディットページ」に移動します。ここから、映像編集の作業が本格的に始まります。
②カラーグレーディングをダビンチで|作業環境を準備
続いて、カラーグレーディングをおこなう環境を準備します。
以下の2ステップです。
- 下部メニューからカラーを選択
- ノードパネルを表示
写真も交えてご紹介します。
カラーグレーディングをダビンチで|下部メニューからカラーを選択

下部メニューにある『カラー』選択して、カラーグレーディングに必要なパネルを出します。
カラーグレーディングをダビンチで|ノードに切り替えてパネルを表示

画面右上のパネルのタブを「ノード」にして、ノードパネルを表示します。
ノードパネルでは、ひとつの素材が、鎖で繋がれるように関連づけられています。
そのため、左から右に向かって、層を重ねていくようなイメージで反映されています。
右クリックで、追加、名前の変更、レイヤーノードに切り替えもできます。
画像のノードは、カラーコレクション用。
- con(コントラスト)
- sat(彩度)
- wb(ホワイトバランス)
また、ボックスにある数字のあたりをクリックすると、オフにもできます。
②カラーグレーディングをダビンチで|全体ワークフロー
DaVinci Resolveには、作業工程ごとにページが分かれています。それぞれの役割は以下の通りです。
- メディア:素材の読み込み
- カット/エディット:映像の編集・カット・配置
- カラー:色補正・グレーディング
- フュージョン:合成やエフェクト
- フェアライト:音声編集
- デリバー:動画の書き出し
初心者の方は、「カットページ」を使って操作。動画をカットし、順番に並べて、必要な部分をつなぎ合わせる。→
「カラーページ」でカラーコレクションやグレーディング。色調補正・LUT適用・カーブ調整をする。→
「デリバーページ」で書き出し設定。書き出しフォーマットはYouTube用、H.264などプリセットが豊富に選べる。
この一連の流れを知っていれば、作業に迷いがなくなります。
③カラーグレーディングをダビンチで|作業効率を上げるショートカット
DaVinci Resolveは作業の効率化にも配慮されています。
特にカラーページやエディットページでは、自分に合ったレイアウトにカスタマイズできます。
たとえば、タイムラインやスコープの位置はドラッグで移動できます。不要なウィンドウは非表示にして、必要な操作に集中できます。自分好みに整えることで、作業効率が大きく変わります。
また、キーボードショートカットも豊富です。以下は初心者でも使いやすい代表的なショートカットです。
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| 再生/停止 | Space | Space |
| カット | Ctrl + B | Command + B |
| 戻る(Undo) | Ctrl + Z | Command + Z |
| ズームイン/アウト | Ctrl + マウスホイール | Command + マウスホイール |
最初はすべて覚えなくても大丈夫です。
が、頻繁に使う操作から慣れていくと、無駄なクリックが減って作業スピードが格段に上がります。
4. カラーグレーディングをダビンチで|カラーコレクションとは?
カラーコレクションは、映像を「正しく」見せるための基礎作業です。
色の演出ではなく、カメラの設定ミスや撮影環境の違いを補正する役割があります。
これを丁寧に行うことで、カラーグレーディングの土台が整います。
①ホワイトバランス・露出・コントラスト調整
まず確認すべきは「ホワイトバランス」です。
ホワイトバランスがずれていると、映像全体が青っぽくなったり、黄ばんで見えたりします。正しい白を取り戻すことで、全体の色味が自然になります。
次に「露出」を調整します。明るすぎる場合は白飛びし、暗すぎる場合は情報が潰れてしまいます。基本的にはスコープ(波形モニター)を見ながら、明部・中間部・暗部がバランスよく分布するよう調整します。
最後に「コントラスト」の調整です。コントラストが低いと映像がぼやけて見えますし、高すぎると不自然になります。Lift(黒)、Gamma(中間)、Gain(白)を使って、立体感を調整します。
この3つの補正だけでも、見た目はかなり改善されます。まずは「自然な状態に戻す」意識で調整するのがポイントです。
②彩度・色温度・色相のバランスを取る方法
次に取り組むのが「彩度」と「色温度」「色相」のバランス調整です。
彩度は、色の鮮やかさを意味します。低すぎるとくすんだ印象に、高すぎると不自然になります。まずは適正な範囲まで上げて、必要に応じて人物や背景の彩度を個別に調整すると自然です。
色温度の調整は、映像全体の「寒色・暖色」の印象を左右します。寒色系(青寄り)は冷たい印象を、暖色系(赤寄り)は温かい印象を与えます。ここでは意図的な演出ではなく、白を基準に色被りを取り除く目的で使います。
また、色相(ヒュー)の調整では、全体の色バランスを微調整します。特定の色が強く出過ぎている場合などに活用します。
これらの調整は、「映像が現実に近い自然な色味に見えるかどうか」を判断基準にすると良いです。
③スコープ(波形・ベクトルスコープ)の活用法
カラーコレクションでは「目で見た印象」だけでなく、「スコープ」を使った客観的な確認が重要です。
波形スコープ(Waveform)は、映像内の明るさの分布を示します。100%に近い部分は白飛び、0%に近い部分は黒潰れを意味します。調整時は、重要な情報がこの範囲に収まるようにするのが基本です。
ベクトルスコープ(Vectorscope)は、彩度と色相のバランスを確認するツールです。中心から遠いほど彩度が高く、各方向が特定の色を表します。特に人物の肌色をチェックする際に有効です。人肌は一般的に「スキントーンライン」と呼ばれるライン上に位置するため、これから外れている場合は補正が必要です。
スコープを使うと、見た目だけでは気づかない色や明るさの偏りに気づくことができます。プロの現場では必ず活用されており、DaVinci Resolveでは標準で表示できます。
目とツールの両方を使って補正することで、安定した仕上がりが実現します。
5. 映像に“らしさ”を加える演出テクニック
カラーグレーディングは、映像を“作品”に変える重要なステップです。
色で物語を語り、視聴者の感情に訴える役割を果たします。色補正ではなく「演出」であることを意識すると、操作にも意味が出てきます。
この章では、グレーディングの実践テクニックを3つ紹介します。
①カラーグレーディングをダビンチで|LUTの基本と適用方法
LUT(ルックアップテーブル)は、映像に決まった「色の雰囲気」にできるツールです。
たとえば、映画風、シネマティック、レトロ、明るいポップ調などがあります。これを目的に応じた色のプリセットを使うことで、色調を変化させます。
DaVinci Resolveでは、カラーページでノードを追加し、「LUT」タブから適用できます。無料版でも基本的なLUTは使用可能で、インターネット上から追加でダウンロードすることもできます。
ただし、LUTを適用しただけでは思った通りの結果にならないことも多いです。LUTは「一括で変換するフィルター」なので、適用前のカラーコレクションが整っていないと、映像が破綻します。
また、LUTは万能ではありません。使いすぎると映像が似たような印象になったり、白飛び・黒潰れが起こることもあります。調整可能なノードで微調整しながら使うのが理想です。
初心者でも簡単に雰囲気を変えられますが、扱い方を誤ると逆効果になります。まずは基本的な色調整を済ませた後にLUTを使うと、バランスよく仕上がります。
②カラーグレーディングをダビンチで|カラー曲線で色を乗せる
カラー曲線(カーブ)は、グレーディングで非常に重要なツールです。リフト(影)、ガンマ(中間)、ゲイン(ハイライト)にそれぞれ異なる色を加えることで、映像に立体感と感情を与えることができます。
たとえば、影の部分に青みを加えると、冷たく寂しい印象になります。逆に、ハイライトに赤やオレンジを加えると、暖かく希望的なイメージになります。映画やドラマでよく使われる手法です。
カーブには「カラーホイール」や「カラーカーブ」「カラーワーパー」など複数の種類があります。なかでも「Hue vs Hue」「Hue vs Sat」「Luma vs Sat」などの調整カーブは、特定の色だけを変えることができ、非常に直感的です。
ただし、やりすぎると不自然になります。特に人肌や空の色は視聴者が敏感に違和感を覚えるため、慎重に調整する必要があります。
DaVinci Resolveでは、これらの調整をノード単位で管理できるので、あとから変更も容易です。少しずつ試して、自分の「好きな雰囲気」を見つけることがポイントです。
③カラーグレーディングをダビンチで|カラーワーパーとセカンダリーカラー
カラーワーパーは、色を「直接つまんで」変えられるツールです。グラフィックで色域を操作できるので、直感的に操作でき、初心者にも使いやすいです。たとえば、緑をもう少し黄緑にしたり、青を紫寄りにしたりといった細かな調整ができます。
一方、セカンダリーカラー調整(クオリファイアー)は、映像の中から特定の色を抽出し、その部分だけを調整する技術です。たとえば、赤い服だけを鮮やかにし、他の部分は彩度を落とすといった表現が可能です。
これらの技術を使えば、映像に奥行きや意味を持たせることができます。ただし、精度を高く保つには、トラッキングやマスクを併用する必要があります。
特に人物が動くシーンでは、追従の精度が重要です。無料版でもある程度まで対応できますが、追従速度や精度は有料版でさらに向上します。
6. ティールアンドオレンジで映画風の色演出
ここでは、カラーグレーディングでダビンチを使ったティールアンドオレンジをご紹介します。
ティールアンドオレンジとは、色味の対比でコントラストをつける手法です。
ティール(水色系)は背景や影、オレンジ(肌色に近い暖色系)は人物に使われます。
- ティール(水色)=寒色
- オレンジ=暖色
寒色と暖色を対比させることで、映像全体に深みと立体感が生まれ、人物が際立って見える効果があります。
ノードを追加する

まず、ノードを追加します。
ノードの追加は、右上のパネルで右クリックし、「ノードを追加」で行います。
ノードを右クリック→ノードラベルから、名前を変更できます。分かりやすいように、ここでは「look」や「teal」と名付けておきましょう。
カラーホイールでティールを調整

左下のパネルのタブを「カラーホイール」に切り替えて作業します。
リフト、ガンマをホイールを使って、中心を青緑側に動かして、ティールの色味を調整します。
違和感のない程度に青みがかったところで止めておきましょう。
肌色を補正(オレンジ)①「調整したティールの前にノードを追加」

次は肌色補正(オレンジ)のカラーグレーディングです。
ここでノードを追加するのですが、今回は、後の工程のために、ティールを調整したノードの前に追加します。
先ほどと同じ要領で、右クリックから「ノードを追加」→「ノードを前に追加」。これで一つ前にノードを追加できました。
次は名前を変えていきます。ここでは「skin」、「orange」などと付けておきましょう。 この後の作業を分かりやすくするため、ティールのノードを一旦オフにしておくのをオススメします。
肌色を補正(オレンジ)②「クオリファイアー」パネルを出す

次に、左下のパネル上部に並ぶタブからスポイトアイコンの「クオリファイアー」を選びます。
下部のパネルが「クオリファイアー」パネルに切り替わり、パネル上部のツールから左端のスポイトツールを選択します。
肌色を補正(オレンジ)③「ハイライト」で肌を選択
③「ハイライト」で肌を選択.webp)
メインウィンドウ上部のタブから「ハイライト」を選んでください。
この状態で肌の部分をタッチすることで、抜き取った肌の部分が見えるようになります。
肌色を補正(オレンジ)④さらに細かく肌色を選択

このままでは抜き取れていない箇所があるので、調整を加えていきます。
「クオリファイアー」パネルで「色相」、「彩度」、「輝度」のスライダーを調整し、肌の全体が検出されるようにします。
肌色を補正(オレンジ)④「ベクトルスコープ」

右下の「スコープ」パネルを「ベクトルスコープ」に切り替えて、「スキントーンインジケーター」にチェックを入れます。
円形のパネルに線が引かれるので、この線をガイドに肌色を調整します。
ここでの調整にはカラーホイールを使います。ゲインやガンマを少しだけ動かして、ガイドに沿うように調整します。
少し赤黄色に寄せてオレンジっぽく仕上げてもOKです
ティールの上に肌色補正のノードを載せる

ティールの上に、先程抜き取った肌のノードを載せていきます。
右上のノードパネルでティールのノードを選択し、右クリックから「ノードを追加」、さらに「レイヤーノードを追加」を選びます。
すると、ティールのノードの下にレイヤーノードが追加されました。この状態で「肌色ノード右下の青い四角マーク」と「レイヤーノード左下の青い三角マーク」を繋いでください。
これで肌色ノードが、ティールの上に載った状態になります。肌色を保ったままでの、ティールのカラーグレーディングが完了です。
仕上げの微調整『キー』タブを使う

肌の色がなじんでいない場合は、左下のパネル上部から「キー」タブを選択します。
キー出力を変えることで、各ノードの設定をどれだけ反映させるかを調整することができます。
場合にもよりますが、だいたいゲイン0.4~0.6の間で調整すると良いでしょう。
完成

7. カーブで作るフィルムルック:やわらかい映画調に仕上げる方法
映画のような質感を出す方法は、ティールアンドオレンジだけではありません。
もうひとつ代表的な手法が「フィルムルック」です。これは、カーブ調整を使ってコントラストや色味をなだらかに変化させ、やわらかいトーンに仕上げる方法です。
人物や風景を自然に見せつつ、シネマの雰囲気を演出できるのが特徴です。
カーブパネルを表示

カーブパネルを表示させます。
カーブの曲線で色調整

カーブのノードを追加します。
下部のパネルのタブをカーブに切り替えて、カスタムカーブをゆるやかな曲線になるように調整します。
色相VS色相①

新しいカーブ用のノードを追加。「カスタムカーブ」→「色相VS色相」に切り替えます。
RGB(赤・緑・青)のどこでもいいので、バーを少しだけ動かし、メインウィンドウでどのようにカラーグレーディングされるか確認してください。
全体の色味変化にはなりますが、これだけでも映画風のカラーグレーディングにできます。
色相VS色相②
色相vs色相では、画面のスポイトでタッチした部分の色だけを変えることもできます。
大きく動かすとおかしな色になってしまうので、少しだけ動かして調整します。

8. プロのように仕上げる!部分的な調整と補正のコツ
カラーグレーディングをダビンチで進めるには、「映像の一部だけを調整する技術」が必要です。
全体に同じ処理をかけるだけでは、均一で単調な印象になりがちです。プロはシーンごとに意図を持って、必要な部分だけを補正し、視線の誘導や雰囲気づくりを行います。
この章では、DaVinci Resolveで部分的に調整する方法を3つ紹介します。
①パワーウィンドウで人物だけ明るくする
パワーウィンドウとは、映像内の「一部を指定して調整するマスク機能」です。
たとえば、人物の顔だけを明るくする、背景だけを暗くするなど、視聴者の視線をコントロールできます。
使い方はシンプルです。ノードにパワーウィンドウを適用し、楕円形や四角、カスタムシェイプで対象部分を囲みます。その範囲に対して、明るさやコントラスト、彩度などを調整します。
さらに便利なのが「トラッキング機能」です。人物が移動しても、パワーウィンドウが自動で追従するため、手動で位置を調整する手間が省けます。これは映像内の人物に注目を集めたい場面や、環境光によるムラを補正したいときに非常に有効です。
ただし、やりすぎると「加工感」が出てしまい、不自然な映像になります。周囲との境界が目立たないよう、フェザー(ぼかし)設定を使い、なじませることがポイントです。
②クオリファイアーで特定の色だけを調整する
クオリファイアーは、特定の色域を抽出して、その色だけを調整できる機能です。
これにより、人物の肌色だけを自然に整える、空の青だけを鮮やかにするなど、セレクティブな編集が可能になります。
使い方は、カラーページのクオリファイアーツールで調整したい色をスポイトで選びます。その色に対して、彩度・明度・色相などを変更します。調整対象を視覚的に確認できるマット表示もあるため、範囲の微調整がしやすいです。
さらに精度を上げるには、「ノイズ除去」と「ぼかし」を加えると、選択した範囲がより自然に映像と馴染みます。背景や人物の髪、衣装などに使うと、視覚的な説得力が一段上がります。
ただし、クオリファイアーも万能ではありません。照明や影の影響を受けやすく、うまく抽出できないこともあります。その際は、パワーウィンドウとの併用で精度を高めると良い結果になります。
③手ブレ補正やノイズリダクションの活用
映像における技術的な課題として、「手ブレ」と「ノイズ」があります。
DaVinci Resolveでは、これらの問題にも対応する補正機能が備わっています。
まず「手ブレ補正(スタビライザー)」は、カラーページ内のスタビライズ機能で利用可能です。自動でカメラの揺れを解析し、滑らかな動きに変換してくれます。手持ち撮影やドキュメンタリー風の映像では特に有効です。ただし、補正後に映像が拡大されるため、画質が少し落ちることがあります。
次に「ノイズリダクション」は、特に高感度で撮影した映像に現れるザラつきを軽減する機能です。こちらは有料版のStudioのみで利用できます。ノイズ除去の強さを調整しながら、映像の細部や質感を損なわずに処理できます。
これらの補正機能を使えば、見た目の質感だけでなく、映像全体の印象も大きく改善されます。ただし、多用すると処理が重くなりやすく、PCスペックに影響するため注意が必要です。
このように、細かい部分の調整を丁寧に行うことで、作品の完成度が一段と上がります。初心者でも少しずつ取り入れてみると、映像の表現力が格段に向上します。
9. カラーグレーディングをダビンチで|便利機能
DaVinci Resolveは、カラー調整だけでなく、映像の質感や雰囲気を引き上げる多彩な機能も魅力です。
少し高度な機能ではありますが、適切に使うことで、より印象的な映像が実現できます。
この章では、細部を強調したり、印象を演出するための便利機能について解説します。
①モーションブラー・ディテール補正の使い方
モーションブラーは、動きのある映像に“残像”を加える機能です。
カメラがパンするシーンや、被写体が動くシーンで適用すると、より滑らかで映画的な印象になります。自然な動きに見せたいときに非常に有効です。
この効果は、Fusionページやカラーのエフェクトメニューから適用できます。ただし、適用には処理が重くなるため、リアルタイム再生が難しくなる場合があります。使用は部分的にとどめ、書き出し前に最終確認すると安心です。
一方、「ディテール補正」は、映像のシャープさや質感を高める機能です。中間ディテールやエッジ部分を強調し、映像に“ハリ”を持たせます。逆にぼかしを加えることで、柔らかいトーンに仕上げることもできます。
たとえば、人物の顔の細部を際立たせたいときはディテール強調を、逆に肌の粗を目立たせたくない場合はぼかしを加えると自然です。これらは小さな調整でも映像の印象を大きく左右するため、慎重な扱いが求められます。
②中間ディテールとブラーで質感をコントロール
中間ディテールとは、映像の中でも「目立たないが重要な質感」に影響を与える要素です。
肌の質感や布の柔らかさ、壁のざらつきなど、映像の“奥行き”を支える情報です。
DaVinci Resolveの「ミッドディテール」スライダーを使えば、この質感を強めたり弱めたりできます。強めるとシャープでクリアな印象に、弱めると柔らかく落ち着いた印象になります。
また、ブラー(ぼかし)機能も質感演出に役立ちます。被写界深度風に背景をぼかしたり、全体のフォーカス感を調整したりすることで、視線誘導や雰囲気づくりが可能です。
とくに顔まわりの処理に使うと、人物の印象が大きく変わります。美容系の動画やドラマシーンでは、こうした調整が非常に効果的です。ただし、過剰なぼかしは不自然になるので注意しましょう。
中間ディテールとブラーは、一見地味な機能ですが、映像の“上質さ”を演出するのに欠かせません。目立たないが効く、まさに職人技的なテクニックです。
③CIE色度スコープで彩度オーバーを防ぐ
カラーグレーディングをしていると、つい彩度を上げすぎてしまうことがあります。
見た目は派手になりますが、放送や配信で色がにじんだり、モニターによって再現できない色になる可能性があります。
そこで役立つのが「CIE色度スコープ」です。これは色の分布を可視化するツールで、色の“領域”が限界を超えていないかを判断できます。特に赤や緑の方向に突き抜けている場合、彩度オーバーのサインです。
DaVinci Resolveでは、スコープ画面でこの表示を有効にできます。映像が許容範囲を超えた彩度になっていないか、最終チェックとして活用するのが基本です。
また、スコープは色だけでなく、輝度バランスの確認にも使えます。人の目では判断しきれない微妙な違いも、スコープで数値的に確認することで、より正確な仕上がりになります。
このように、便利機能を活用することで「感覚」だけでなく「論理」でも映像を調整できるようになります。これがプロの仕上げに一歩近づくポイントです。
10. よくある疑問とその答え:DaVinci初心者のFAQ
DaVinci Resolveは無料で高機能なソフトです。
が、実際に使ってみると「どこまで無料でできるの?」「LUTはどう使う?」「なかなか上達しない」など、誰もがぶつかる疑問があります。
この章では、よくある質問に実務的な視点で答えます。
①有料版は買うべき?無償版でどこまでできる?
結論から言えば、多くのユーザーにとって無料版で十分です。
カラー補正、LUT適用、カーブ調整などの基本機能はすべて使えます。YouTube動画や短編映像を作る程度なら、無料版で不自由はほとんどありません。
ただし、次のようなケースでは有料版(Studio)を検討すべきです。
- 8K映像やHDR制作を行う場合
- 高度なノイズリダクションやモーションブラーを使いたい場合
- AIによる顔認識や自動マスク機能を使いたい場合
- 複数GPUを使った高速処理が必要な場合
価格は買い切りで48,980円です。他社のサブスクリプションと比べても割安で、プロや商用利用を考えるなら長期的に見て投資価値があります。
②LUTってどこで手に入る?使い方の注意点は?
LUTはインターネット上で多数配布されています。
公式サイトのほか、映像クリエイターが無料配布しているケースも多いです。有料のプロ仕様LUTもあり、数千円〜数万円と幅があります。
ただし、LUTは万能ではありません。適用しただけで映像が完成することは稀です。前段階でカラーコレクションを正しく行い、露出やホワイトバランスを整えてからLUTをかける必要があります。
また、LUTは「仕上げの方向性」を決めるものです。例えば「映画風LUT」を適用しても、映像素材が暗いままだと効果が出にくいです。そのため、LUTを“魔法のフィルター”と考えるのではなく、“スタート地点”として扱うのが現実的です。
③カラーグレーディングをダビンチでうまくできない原因と対策
「色を触っても不自然になる」「思った通りの雰囲気が出せない」と感じるのは、多くの初心者が通る道です。
その原因は大きく分けて3つあります。
- カラーコレクションが不十分
基礎となるホワイトバランスや露出補正ができていないと、グレーディングしても違和感が残ります。必ず補正を整えてから次のステップに進みましょう。 - やりすぎている
彩度やコントラストを強くかけすぎると、不自然な映像になります。特に人肌は視聴者が敏感に違和感を覚える部分なので、スコープを使って客観的に判断しましょう。 - 目的が曖昧
「なんとなくかっこよくしたい」という漠然とした意図では、調整が迷走します。シーンの目的を決め、「温かみを出したい」「緊張感を高めたい」といった具体的なゴールを設定することで、色の選択が明確になります。
上達の近道は、映画やCMを観察し、色の使い方を分析することです。
「このシーンはなぜ青っぽいのか?」「なぜ彩度が落ちているのか?」を考える習慣を持つと、グレーディングの引き出しが増えていきます。
11. カラーグレーディングをダビンチで!まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
カラーは感覚だけでなく、手順と検証で安定します。だから、まずは短い素材で「コレクション→グレーディング→書き出し」を一巡させてください。
次に、参照スチルとスコープで再現性を確認します。
うまくいかない時は、彩度とコントラストを一段戻し、肌色と黒レベルを基準に再調整します。無料版でも十分に戦えます。けれど、ノイズ除去や高度なトラッキングを使うならStudio版も有効です。
小さく作って早く試す。これが上達の近道です。
>> 動画編集ソフトVideo ProcでSONYα7の撮影素材をカラーグレーディングできる?
今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!

![Davinci Resolveで学ぶ映画風カラーグレーディングの基礎[フィルムルックに挑戦]](https://videolab.jp/wp-content/uploads/2022/11/Davinci-Resolveで学ぶ映画風カラーグレーディングの基礎フィルムルックに挑戦-1-1.webp)




