モーショングラフィックスとは、2DCGとも呼ばれており、動画のなかで、数字やグラフ、図形などを動かす動画表現です。
実写動画では、伝わりづらいテーマをわかりやすく、伝えることができるのが大きな特徴です。
でも、どんなものか?よくわからないという方もいらっしゃいますよね?
というわけで今回の記事は
●モーショングラフィックスとは?
●モーショングラフィックスを使うメリット
●モーショングラフィックスの制作ポイント
について、基本から効果的な作り方、作成のコツを解説した記事です。
どうぞ最後まで、ご高覧ください。
目次
モーショングラフィックスを使う3つのメリット
モーショングラフィックスには、3つの大きなメリットがあります。それは
(1)視覚的訴求力の向上
(2)複雑な情報を分かりやすく伝える
(3)ユーザーエンゲージメントの促進
一つずつ見ていきましょう。
(1)視覚的訴求力の向上
モーショングラフィックスは動きと色の組み合わせで注目を集め、情報伝達を効果的に行います。
視覚的な表現で、視聴者の記憶に残りやすい
感情を刺激するデザインは、メッセージの影響力を高める重要な要素です。
(2)複雑な情報を分かりやすく伝える
モーショングラフィックスは、動的なアニメーション。
なので、一目見ただけでは、理解できない複雑な情報を、絵で表現することで、分かりやすく伝える強力な動画表現です。
データや概念を直感的に理解させられる力がある
特に、プレゼンテーションやマーケティング資料を短時間で明確に伝えるために不可欠です。
(3)ユーザーエンゲージメントの促進
モーショングラフィックスは、その分かりやすさ、伝わりやすさで、ユーザーエンゲージメントを飛躍的にアップさせます。
例えば、製品の利点を強調するアニメーションなどは、ユーザーの理解度を深めるので、その分、ブランドイメージをより鮮明に記憶できます。
アニメーションがユーザーの理解度を深める
静止画やテキストよりもユーザーの注意を引きやすく、高い訴求力があるから、です。
モーショングラフィックスのポイント
モーショングラフィックスには、大きく3つのポイントがあります。
<1>アニメーション
<2>視覚的リズムとタイミングのコントロール
<3>カラースキームとタイポグラフィの選定
一つずつ見ていきましょう。
<1>アニメーション
アニメーションは、動きのリアリティと滑らかさを生み出します。
モーショングラフィックスは、ストーリー性を視覚的に高める働きがあります。
タイミングとスペーシングを調整し、キャラクターやオブジェクトの動きを自然に見せることが重要です。
<2>視覚的リズムとタイミングのコントロール
モーショングラフィックスの視覚的リズムとタイミングは、メッセージを伝える効果を左右します。
適切な速さで、視覚的な変化をつけて、情報を提示することで、視聴者の注意を引きます。
また、アニメーションのタイミングで、視聴者の理解を深める役割をコントロールします。
<3>カラースキームとタイポグラフィの選定
カラースキームとタイポグラフィで、対照的な色使いで、視覚的なコントラストを高めます。
色の心理効果で、目的に合った配色を選び、動画全体のトーンを設定
フォント選びで、情報をより読みやすく、伝えやすくする
モーショングラフィックスの制作4ステップ
モーショングラフィックスの制作プロセスについて見ていきましょう。
プロセスには4ステップあります。
①アイデア出しから始めるコンセプト作り
②スクリプトとストーリーボードの作成
③アニメーションとエフェクトの実装
④音楽の組み合わせ
一つずつ、その工程を簡単にご紹介します。
①アイデア出しから始めるコンセプト作り
モーショングラフィックスを制作する際に、初期段階でのコンセプト作りは成功の鍵を握ります。
効果的なコンセプト作りを行うことで、それぞれのモーショングラフィックが持つストーリーと情報を最大限に伝えることができるから、です。
この段階で、ターゲットオーディエンスやメッセージの核心を明確にし、ビジュアル表現の方向性を決定することが重要です。
②スクリプトとストーリーボードの作成
モーショングラフィックスを成功させるには、スクリプト作成から始めることが不可欠です。
スクリプト=動画台本
メッセージやストーリーの骨組みを構築するためのもので、目的と重要性を明確にするために必要です。
次に、スクリプトを基にしたストーリーボードを描くことで、視覚的な構成要素を整理し、動画制作のビジュアル化の手段として活用します。
③アニメーションとエフェクトの実装
モーショングラフィックスの制作プロセスでは、アニメーションが物語の流れを生み出し、エフェクトが視覚的な魅力を加えます。
ソフトウェアを使っての滑らかなアニメーション。
色彩やトランジションのエフェクトを駆使しての、視覚的なインパクトを表現します。
④音楽の組み合わせ
モーショングラフィックスと音は、とても親和性が高いです。
適切なサウンドデザインは、映像にリアリティを与えます。
たとえば、
●緊迫したシーンでの低音の響き=視聴者の緊張感が増幅
●明るく元気なメロディ=ポジティブな雰囲気を創出
など、視聴者の感情を掻き立て、メッセージを強化します。
モーショングラフィックスの使い方
モーショングラフィックスには、さまざまな使い方がありますが、ここでは3つご紹介します。
❶エクスプレナビデオ
❷ロゴアニメーション
❸インフォグラフィックス
一つずつ、ご紹介します。
❶エクスプレナビデオ
エクスプレナビデオとは、複雑な情報や概念を簡潔に説明するための短いオンライン動画です。
これらの動画は、視聴者の理解を深め、教育的効果を高めるビジュアルコミュニケーションの優れたツールとなっています。
アニメーション、テキスト、ナレーションを組み合わせ、直感的な学びと認識を促進することが目的です。
❷ロゴアニメーション
ロゴアニメーションは、ブランドの特徴を生き生きと表現し、視覚的インパクトを通じてブランド認知度を向上させる効果があります。
例えば、ある有名スポーツブランドは、シンプルなロゴを動的なアニメーションに変えることで、活動的なイメージを強調し、消費者の記憶に深く残りました。
このようにロゴアニメーションを使うことで、視覚的なダイナミズムが加わり、ブランドのメッセージがより鮮烈に伝わるのです。
❸インフォグラフィックス
インフォグラフィックス動画は、ビジネスや教育分野での情報提供に効果的です。
インフォグラフィック=インフォメーショングラフィック(データや統計を視覚的に表現する)
データなどをアニメ化することで、理解しやすくなり、そして記憶に残ります。
さらに、ストーリー性を加えることで、視聴者の感情に訴えかけ、情報のインパクトを高めるテクニックも有効です。
モーショングラフィックス作成のおすすめソフト5選
インフォグラフィックスを作るには、動画のソフトが必要です。
初心者は、使いやすさと学習リソース豊富なツールを優先しましょう。
ここでは、下記5つの無料ソフトをご紹介します。
1. DaVinci Resolve
2. HitFilm Express
3. Shotcut
4. Blender
5. Lightworks
まずは、無料ソフトで試してから、有料ソフトにステップアップにしましょう。
1. DaVinci Resolve
DaVinci Resolveは、プロフェッショナルなレベルのことができるのに、基本機能を無料で提供する動画編集ソフトです。
モーショングラフィックス作成の機能も充実しています。
ユーザーインターフェースも直感的で、ネット上にも多くのチュートリアルがあり、初心者からプロフェッショナルまで幅広く対応しています。
ロゴなし動画編集ソフト 無料版/有料版
|
編集レベル | 対応OS | ファイル形式 | 4K |
---|---|---|---|---|
中級者〜 | Windows・Mac・Linux | ほぼすべてのファイル形式に対応 | ○ | |
映画のスタジオが並ぶハリウッドの映像プロダクションで、使用率がとても高いソフト。実際の映画で使われている実績が、この動画編集ソフトの実力の高さを示しています。難点は、高機能過ぎること。Adobe製品に例えると、Premiere ProとAfter Effectsを足したくらいの機能がある。逆に複数のソフトを習得する必要がないので、使いこなすことができたら、無敵の動画編集ソフト。 使用環境:パソコン |
2. HitFilm Express
HitFilm Expressは、モーショングラフィックスとビジュアルエフェクトに特化した無料の動画編集ソフトです。
3Dモデリングのサポートや、パーティクルシミュレーションなどの高度なエフェクトで、映画のようなビジュアル作成が可能です。
直感的なインターフェースと豊富なチュートリアルで、初心者も比較的容易に扱うことができます。
ロゴなし動画編集ソフト 無料・4K対応
|
編集レベル | 対応OS | ファイル形式 | 4K |
---|---|---|---|---|
中級者〜 | Windows・Mac |
YouTube, MP4, IMAGE SEQUENCE, AVI |
○ | |
Adobe製品の動画編集ソフト『Premiere Pro』に匹敵する本格派の動画編集が可能。ただし、無料版(express)と有料版があって、すべて無料ではない。高い基本機能を活かすためにある程度のパソコンスペックが必要だが、モーショングラフィックス、VFX制作など、高度な機能をもち、プロ級な動画編集機能を提供している。 使用環境:パソコン |
3. Shotcut
Shotcutは、オープンソースで開発された無料の動画編集ソフトです。
モーショングラフィックスの作成には、キーフレームアニメーションやフィルターの適用が可能で、シンプルながらも効果的な動きを加えることができます。
また、多様なビデオフォーマットのサポートと、使いやすいインターフェースが特徴です。
ロゴなし動画編集ソフト 完全無料・時間制限なし |
編集レベル | 対応OS | ファイル形式 | 4K |
---|---|---|---|---|
中級〜上級 | Windows・Mac・Linux | ほぼすべてのファイル形式に対応 | ○ | |
Shotcutは、完全無料の動画編集ソフト。オープンソースでWindows/Mac/Linuxで動作する。完全無料でありながら、高機能。難点は、逆に使いこなせないくらいの高機能な点。日本よりも海外のクリエイターに支持されているが、日本語での利用が可能。後から機能を追加するのに、費用がかかることもない。 使用環境:パソコン |
4. Blender
Blenderは、3Dアニメーション作成に特化した無料のオープンソースソフトウェア。
同時に、ビデオ編集機能も搭載しています。
3Dモデルやアニメーションを組み合わせて複雑なシーンを作れる一方、かなりプロフェッショナルレベルのソフトなので、それなりの学習が必要です。
ロゴなし動画編集ソフト 無料・4K対応 |
編集レベル | 対応OS | ファイル形式 | 4K |
---|---|---|---|---|
上級者〜 | Windows・Mac・Linux | ほぼすべてのファイル形式に対応 | ○ | |
今回は、2Dモーショングラフィックスのソフトとしての紹介だけど、本来、Blenderは、3DCGが作れるソフト。なので、その習得には、相当な時間と労力がかかるけど、その分、使いこなせる人の数は少ないので、お仕事の受注には困らない。3DCGアニメーションの制作に必要なすべての機能をもっているソフトです。 使用環境:パソコン |
5. Lightworks
Lightworksは、ハリウッド映画にも使用されているプロフェッショナルな動画編集ソフト。
そして無料
リアルタイムエフェクトや高度なカラーコレクションツールを備えており、モーショングラフィックスの作成にも適しています。
ただし、使いこなすまでには、少し経験が必要です。
ロゴなし動画編集ソフト 無料・4K対応 |
編集レベル | 対応OS | ファイル形式 | 4K |
---|---|---|---|---|
中級者〜 | Windows・Mac・Linux | ほぼすべてのファイル形式に対応 | ○ | |
Lightworksは、元々有料のソフトだが、無料版もリリースされて、より身近な動画編集ソフトになった。元はプロ向けの有料動画編集だったこともあり、完成度の高い動画制作をすることが可能。無料版は、出力解像度720Pの制限がある。7日間の無料期間が過ぎた後でも、会員登録をすることで、制限はあるもののクリエイターの要求に応えてくれる動画編集ソフト。 使用環境:パソコン |
モーショングラフィックスの成功事例3選
ここでは、実際に、モーショングラフィックス動画を用いた、成功事例を3つ見てみましょう。
① Spotify "Wrapped" キャンペーン
② Google Doodle - ハロウィン 2016
③ Apple - "Introducing iPhone X" プロモーションビデオ
一つずつ見ていきましょう。
① Spotify "Wrapped" キャンペーン
Spotifyは毎年、ユーザーの一年間の聴取履歴をまとめた「Wrapped」キャンペーンを実施しています。
視聴者にとって魅力的でシェアしやすいものでした。
生成された動画はソーシャルメディアで共有できて、拡散しやすい環境が作られました。
② Google Doodle - ハロウィン 2016
Googleは、トップページのロゴを定期的に変更する「Google Doodle」を展開しています。
2016年のハロウィンでは、ユーザーが小さな魔女のキャラクターを操作し、さまざまなチャレンジをクリアしていくというモーショングラフィックスを採用しました。
ユーザーが直接ゲームに参加することで、エンゲージメントを高めました。
③ Apple - "Introducing iPhone X" プロモーションビデオ
Appleは、新製品発表でプロモーションビデオを制作します。
iPhone Xを紹介する動画では、デバイスの特徴や新機能が、モーショングラフィックスを効果的に使って紹介されました。
モーショングラフィックスを通じて、Face IDなどの機能が直感的に理解できました。
モーショングラフィックスの未来とトレンド予測
モーショングラフィックスの未来は、テクノロジー進化とともに革新的な変貌を遂げています。
特に、AIと機械学習の組み合わせによる自動化が、デザインプロセスを高速化し、創造性の新たな地平を開いていると言えるでしょう。
また、VRやARといった没入型技術の統合は、モーショングラフィックスをよりリアルでインタラクティブな体験へと導いています。
❶テクノロジーの進化がもたらす可能性
テクノロジー進化はモーショングラフィックスの可能性を飛躍的に拡大しています。
●仮想現実(VR)
●拡張現実(AR)
●人工知能(AI)
の統合で、より没入感の高い視覚体験が加速します。
これらの技術が組み合わさることで、モーショングラフィックスは、ユーザー参加型のコンテンツへと進化すると予測されます。
❷次世代のモーショングラフィックス
次世代のモーショングラフィックスは、AIと機械学習の進化と比例します。
今よりもっと、リアルで複雑になる
また、CPUやGPUが、より高性能化することで、レンダリング速度もリアルタイムに近づき、エンターテイメントに革命をもたらす可能性が高いです。
❸業界で注目される新たな動向
モーショングラフィックス業界は、日々新しい動向が生み出されています。
特にAIの進化で、これまで手作業だったアニメーションが、プログラムによって自動生成される例も増えています。
さらにVRやARといった拡張現実技術との組み合わせで、モーショングラフィックスは、より没入感のある体験を創出する方向に進んでいます。
モーショングラフィックスとは?まとめ
モーショングラフィックスは、2DCGとも呼ばれる動画表現。
数字や統計はもちろん、すぐに理解しづらいものを視覚的に印象づけて、分かりやすく伝えられる効果があります。
まとめると
(1)視覚的訴求力の向上
(2)複雑な情報を分かりやすく伝える
(3)ユーザーエンゲージメントの促進
<1>アニメーションの基本原則
<2>視覚的リズムとタイミングのコントロール
<3>カラースキームとタイポグラフィの選定
①アイデア出しから始めるコンセプト作り
②スクリプトとストーリーボードの作成
③アニメーションとエフェクトの実装
④サウンドデザインと音楽の組み合わせ
❶エクスプレナビデオ
❷ロゴアニメーション
❸インフォグラフィックス
① Spotify "Wrapped" キャンペーン
② Google Doodle - ハロウィン 2016
③ Apple - "Introducing iPhone X" プロモーションビデオ
でした。
今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!