シャッタースピードは、写真の仕上がりを左右する重要な要素のひとつ。
でも、どんな設定にすれば良いのか?目安がわかったら嬉しいですよね?
たとえば、スポーツや動きの速いシーンでは速いシャッタースピードが必要です。が、夜景や風景は、光を多く取り込むために遅いシャッタースピードを設定します。
基本失敗をしたくない
というわけで、この記事は
●シャッタースピードの基本
●シーンごとの目安
●被写体ごとの設定方法
を解説します。
明るさの調整に役立つポイントもカバーしていますので、ぜひ、最後までご高覧ください。
目次
シャッタースピードの基本
シャッタースピードとはなにか?
最初に結論を言うと『カメラのシャッターを開いて光を取り込んでいる時間』のこと、です。
シャッタースピード=シャッターを開いて光を取り込む時間
速いシャッタースピードは動きを瞬時に止めるため、動きの速い被写体に適しています。が、光の取り込みが少なくなります。
反対に、遅いシャッタースピードだと、多くの光を取り込める一方で、動きのある被写体は、ブレてしまいます。
まずは、シャッタースピードについて、下記の4つの基本をおさらいしましょう。
①シャッタースピードとは?写真の明るさと動きに与える影響
②シャッタースピードの表記は?
③シャッタースピードが変わるとなにが違うの?
④失敗しないシャッタースピード目安
①シャッタースピードとは?写真の明るさと動きに与える影響
シャッタースピードが速いと、光を取り込む時間が短くなるため、速いシャッタースピードを確保するためには、明るい場所であることが必要です。
写真の明るさと、被写体のブレに影響します。
シャッター スピード | メリット | デメリット | 推奨環境 |
---|---|---|---|
速い | 動きの早い被写体も鮮明に写す | 光の取り込みが減るため暗い写真になる | 屋外や日中 明るい場所 |
遅い | 動きのある被写体を滑らかに写す | 光を取り込む量が多く明るい写真になる | 夜景など 暗所に対応 |
例えば、スポーツ撮影には1/1000秒以上、夜景には、数秒といった適切なシャッタースピードが必要です。
②シャッタースピードの表記は?
シャッタースピードの単位は『秒』です。が、1秒以下のスピードが一般的です。
シャッタースピードの表記単位は、1/(焦点距離)秒です。ですので、下記のようになります。
●1/50秒(50分の1秒)
●1/100秒(100分の1秒)
●1/1000秒(1000分1秒)
のように表記されます。
③シャッタースピードが変わるとなにが違うの?
では、シャッタースピードが変わるとどうなるのか?
まずは、速いシャッタースピード(例: 1/500秒以上)は、スポーツや野生動物など、速い被写体の動きを止めます。
が、反対に、遅いシャッタースピードでは、被写体もブレるし、撮影時に手ブレもしやすいです。
●取り込む光の量が変わるので、明るさが変わる
●ブレるか?ブレないか?が変わる
逆に、ブレしてしまうことを逆手にとった撮影手法もあります。
意図的に、遅いシャッタースピードを使って、滝や車のライトなど、早い動きのものを撮影すると、タイムラプス撮影のように、独特の撮影表現になります。
水の流れ
光の流れ
こちらの記事も参考になります。
>> iPhoneのシャッタースピードを調整して長時間露光をする方法
④失敗しないシャッタースピード目安
では、どのくらいのシャッタースピードが標準なのか?
三脚を使わない場合の撮影で、手ぶれを防ぐ最低シャッタースピードの目安は、以下の通りです。
レンズの焦点距離 | 最低のシャッタースピード目安 |
---|---|
50mm | 1/50秒以上 |
200mm | 1/200秒以上 |
400mm | 1/400秒以上 |
こちらは、レンズの焦点距離をシャッタースピードの最低基準とする方法です。
これを基準に、動きの早い被写体は、シャッタースピードを速めに設定できれば、手ブレや被写体ブレを防ぐことができます。
ただし、暗い場所で、シャッタースピードを早くできない場合があります。
その際は、ISO感度を上げるとシャッタースピードを速く保ちながら明るさを補うことができます。
デジタルカメラの場合、ISO感度とはレンズから入ってきた光を、カメラ内でどのくらい増幅させるかの指標になります。カメラ内に入ってくる光の量は、絞りとシャッター速度で決定され、その光の量から適切な明るさの画像になるように光を増幅させます。その増幅具合を数字で表しています。例えば、ISO200とはISO100の2倍感度が高いことを示し、ISO100の時に比べて光の量が半分の場所でも同じ明るさで写真を撮ることができます。
SONY公式:デジタル一眼カメラ α(アルファ) サポートトップ
被写体別のシャッタースピード設定
シーンごとに適切なシャッタースピードを設定することで、より効果的な写真が撮影できます。
ここでは、撮影シーンに応じたシャッタースピード設定について考えてみましょう。
❶人物撮影に最適なシャッタースピードの目安
❷風景撮影での最適シャッタースピード設定
❸夜景や低光量のシーンにおけるシャッタースピード調整法
一つずつ見て行きましょう。
❶人物撮影に最適なシャッタースピードの目安
人物撮影のシャッタースピードは、1/125秒〜1/250秒が、一般的です。
動きが少ない場合でも、この範囲で設定すれば、被写体のブレも、手ブレもなく、安心です。
動きのあるシーンでは、1/500秒以上に設定するとさらに良い結果が得られます。
❷風景撮影での最適シャッタースピード設定
風景写真には、1/60秒〜1/125秒が理想的です。
風景は動きが少ないので、人物撮影よりも遅めのシャッタースピードでもOKですが、この設定範囲であれば、三脚を使わず、手持ちでの撮影でも問題ありません。
逆に、前述した、水や雲の動きを滑らかに表現したい場合には、わざと『1秒以上のスローシャッター』を使うことで、独特の雰囲気を演出できます。
昼間にスローシャッターを使用する場合は、NDフィルターの併用も考えましょう。
NDフィルターはレンズから入る光の量を減らすために使うグレーのフィルターです。まぶしさを抑えるサングラスのようなものです。NDとは、「Neutral Density(ニュートラル・デンシティー)」の略で、直訳すると「中立な濃度」という意味です。発色に影響を与えることなく、光量を減らすのがNDフィルターです。
株式会社ケンコー・トキナー公式:NDフィルターでプロ並み写真が撮れる - 選び方・使い方ガイド
❸夜景や低光量のシーンにおけるシャッタースピード調整法
夜景や低光量のシーンでは、数秒〜数分のシャッタースピードを設定し、三脚を使って光を多く取り込みます。
1/30秒以下での手持ち撮影はブレが出やすいので、ISOを上げたり、開放絞りで撮影するのがポイントです。
夜景で車の光の軌跡を捉える場合は、10秒以上のシャッタースピードで長時間露光を行うことで、独特な写真が得られます。
撮影シーン別のシャッタースピード目安
撮影シーンに合わせたシャッタースピードを選ぶことで、失敗を防げます。
以下は、シーン別のおすすめのシャッタースピードの目安です。
(1)スポーツや動きの速い被写体(1/500秒以上)
(2)風景や夜景撮影(1/60秒以下)
(3)動きを止めたいか流したいかで選ぶ
(1)スポーツや動きの速い被写体(1/500秒以上)
スポーツや動きの速い被写体を撮影する場合は、1/500秒以上を推奨します。
例えば、サッカーやテニスなどの競技では1/1000秒〜1/2000秒が必要で、動きのシャープさを保ちながら撮影できます。
速いシャッタースピードで光量が足りない場合は、ISO感度を上げて明るさを補完し、ブレのない写真を撮影しましょう。
(2)風景や夜景撮影(1/60秒以下)
風景や夜景を撮影する際には、1/60秒以下の遅いシャッタースピードを使用して光を多く取り込みます。
夜景でのシャッタースピードは、長く設定することで都市の光や星空のディテールが際立ちます。
特に、滝や川の流れを撮影する場合は、1秒以上のシャッタースピードを設定することで幻想的な写真が得られます。
三脚の使用が推奨
(3)動きを止めたいか流したいかで選ぶ
シャッタースピードは、被写体を「止める」か「流す」かによって選びます。
動きを止める場合は1/500秒以上、流し撮りや水の流れを表現する場合は1/30秒以下が目安です。
シーン別 | シャッタースピード目安 |
---|---|
動きを止める場合 | 1/500秒以上 |
流し撮りや水の流れを表現する場合 | 1/30秒以下 |
意図的に遅いシャッタースピードを使うと、動きのある被写体を滑らかに表現した写真が撮れます。
シャッタースピードとISO感度、露出補正のバランス
シャッタースピード、ISO感度、露出補正は、光量や被写体に応じて調整する重要な要素です。
シャッタースピードを速くして動きを止めたい場合は、ISO感度を上げて明るさを確保することが求められます。
ISO感度とシャッタースピードの関係:高感度設定の利点と注意点
ISO感度を上げると、低光量下でもシャッタースピードを速められる利点があります。
例えば、ISO800以上に設定すると、夜間撮影でも1/250秒程度の速いシャッタースピードで撮影可能です。
ただし、高感度ではノイズが増えるため、画質が低下することもあるので、最適なISO感度とシャッタースピードのバランスを考慮しましょう。
露出補正の活用でシャッタースピードを調整する方法
露出補正を使えば、シーンに合わせて明るさを調整しながら最適なシャッタースピードを設定できます。
たとえば、逆光のシーンではプラス補正を行い、シャッタースピードを速めることで、被写体をはっきりと写し出すことが可能です。
反対に、夕暮れなどのシーンではマイナス補正で雰囲気を強調しながら、長時間露光で表現力を高めることができます。
逆光の場合 | 速める | 逆光でも被写体を写せる |
夕暮れなど |
<h3> シャッタースピードの調整で夜景と動きを両立する設定
動きのある夜景を撮影する場合、長時間露光でシャッタースピードを数秒に設定すると、光の軌跡が美しく映ります。同時に動く車や人の軌跡も捉えられるため、動きと静止の対比が映える写真が撮影可能です。ISO感度を下げ、三脚を使用することで、ブレずにクリアな夜景が実現します。
よくあるシャッタースピードの設定ミスと解決策
撮影時のシャッタースピード設定におけるよくあるミスを理解し、トラブルを避けることで、より安定した写真撮影が可能です。
具体的な対処法も紹介します。
<1>シャッタースピードが速すぎて暗くなるときの対処法
<2>手ブレを防ぐためのシャッタースピード目安(焦点距離の法則)
<3>光量不足のときは『ISO感度』や『絞り』で調整
<1>シャッタースピードが速すぎて暗くなるときの対処法
シャッタースピードを速く設定しすぎると、光の取り込みが不足し、写真が暗くなります。
このような場合は、ISO感度を上げて明るさを確保する、または絞りを開放することで光量を増やすと良いでしょう。
特に、動きの速いシーンでは、明るさを確保するための工夫が必要です。
<2>手ブレを防ぐためのシャッタースピード目安(焦点距離の法則)
手ブレを防ぐためには、焦点距離の1倍の分数をシャッタースピードの最低基準にすると良いです。
たとえば、50mmのレンズを使用する場合、1/50秒が手持ち撮影での最低シャッタースピードです。
さらに、望遠レンズを使用する場合には、被写体のわずかな動きでもブレが目立つため、1/100秒や1/200秒など、より速いシャッタースピードが必要です。
特に暗い場所では、ISOを上げるか三脚を使って安定させましょう。
<3>光量不足のときは『ISO感度』や『絞り』で調整
暗い場所での撮影では、シャッタースピードを速く保ちつつ、十分な明るさを確保するためにISO感度を上げることが効果的です。
また、絞り(F値)を開放すると、より多くの光を取り込めるため、シャッタースピードを速めに設定しても明るさを補うことができます。
ただし、ISOを高く設定すると画質にノイズが発生しやすくなるため、可能な限り低めに設定することをおすすめします。
絞り値とは、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさのことです。
デジタル一眼レフカメラの基礎知識 - 露出 | Enjoy ...
絞り値はF1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22、F32のように表されます。
F+数値で表され、F値やFナンバーと呼ばれることもあります。
絞り値を変えると、絞りの開き具合が変わり、レンズを通る光の量が変わります。
絞り値を大きくすると、絞りが絞られてレンズを通る光が少なくなり、絞り値を小さくすると、絞りが開かれてレンズを通る光が多くなります。
シャッタースピードの目安は?まとめ
シャッタースピードの基礎知識と、目安をお伝えしました。
シャッタースピードとは
シャッターを開いて光を取り込む時間
です。
手ぶれを防ぐために必要な目安や、撮影シーンに合わせたシャッタースピード目安を参考にしてもらえたらと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!