フォトショップ切り抜き、うまくいかない?
じつは、いろいろな場面で切り抜きの方法がちがいます。「被写体を選択したけど髪の毛が消えてしまう」「背景を削除したのに白い部分が残る」「どのツールを使えばいいのかわからない」と悩むのは当然です。フォトショップの切り抜きツールは種類が多く、状況に応じた使い分けが必要だからです。
そこで、今回の記事では、
この記事で分かること
- AI自動「被写体を選択」で最速で切り抜く方法
- 髪の毛を綺麗に処理する「選択とマスク」の完全攻略
- 切り抜きができない原因と確実な解決策
- 背景透過PNG保存で失敗しないための手順
など、「フォトショップ切り抜き」を解説します。

執筆者
この記事は、動画制作・デザインを手がける統合クリエイティブスタジオ|ワイラボの代表が執筆しています。普段は企画やディレクションの立場から、現場チームと連携して、デザインディレクション、イラスト制作、映像制作に関わっており、その経験から得た視点で、分かりやすさを心がけてお伝えします。
1. フォトショップ切り抜きの最速手順|AI自動「被写体を選択」
まず、フォトショップ切り抜きでおこなうのは「被写体を選択」です。
現在のフォトショップ切り抜きでは、AIが自動的に被写体を認識し、背景と分離してくれます。そのため、複雑な操作は不要です。ただし、背景が複雑な画像や被写体と背景の境界が曖昧な場合は、精度が落ちることがあります。
まずは基本的な使い方から見ていきましょう。
フォトショップ切り抜き①「被写体を選択」の基本的な使い方

フォトショップ切り抜き|手順
- ショートカットキー(W)か、メニューバー「選択範囲」で「被写体を選択」
- 自動で選択範囲が決定される
- 背景を非表示にする
- 完成
まずは、ショートカットか、メニューバーから「被写体を選択」します。
つぎに、選択範囲が作成されたら、レイヤーマスクを追加します。このとき、レイヤーパネルの下部にある「レイヤーマスクを追加」ボタン(四角の中に円が入ったアイコン)をクリックしてください。これで選択された部分だけが表示され、背景が非表示になります。
ここで、重要なポイントは、レイヤーマスクを使うこと。なぜなら、削除キーで背景を消してしまうと、後から調整できないから、です。
| 操作方法 | 手順 | 所要時間 | 推奨度 |
|---|---|---|---|
| ショートカット | W キー → 被写体を選択ボタン | 約5秒 | ★★★ |
| メニューバー | 選択範囲 → 被写体を選択 | 約10秒 | ★★☆ |
2. 状況別|フォトショップ切り抜きツールの使い分け
「被写体を選択」だけでは対応できない画像も多く存在します。
なぜなら、背景が複雑な場合があるから、です。また、切り抜きたい部分が複数あるケースです。そんな時に使うのが、クイック選択ツールとペンツールです。
クイック選択ツールは、細部の調整に向いています。一方、ペンツールは完全手動ですが、正確な切り抜きが可能です。
① フォトショップ切り抜き|細部まで丁寧に選択する
フォトショップ切り抜き|細部を選択する手順
- ツールバーからクイック選択ツール選択(またはW)
- ブラシサイズの調整とドラッグ操作
- 選択範囲の追加(クリック)と削除(Alt/option)+クリック)
- レイヤーマスクを追加して完成

ツールバーの左側にある選択ツールのアイコンを長押しすると、クイック選択ツールが表示されます。もしくは「W」キーを押すと、選択系のツールが切り替わります。クイック選択ツールを選んだら、画面上部のオプションバーでブラシサイズを調整してください。
ブラシサイズは切り抜きたい部分の大きさに合わせて変更します。細かい部分は小さく、広い面積は大きくするのが基本です。ブラシサイズの変更は、キーボードの「[」キーで小さく、「]」キーで大きくできます。この方法なら、作業中に素早くサイズ調整ができます。
選択範囲を広げるには、切り抜きたい部分をクリックまたはドラッグします。するとフォトショップが自動的に境界線を判別し、選択範囲が広がります。この時、似た色や明るさの領域が一緒に選択される仕組みです。
② フォトショップ切り抜き|ペンツールで自由に切り抜き
フォトショップ切り抜き|ペンツール手順
- ペンツール(P)でパスを作成
- アンカーポイントとベジェ曲線の基本操作
- パスパネルから「パスを選択範囲として読み込む」
- レイヤーマスクまたはマスクボタンで切り抜き

ツールバーから「P」キーを押すと、ペンツールが選択されます。
被写体の輪郭に沿って、クリックしながらアンカーポイントを打っていきます。直線部分は単純にクリック、曲線部分はクリックしたままドラッグすると、ベジェ曲線が作成されます。この曲線を調整することで、滑らかな輪郭が描けます。
ベジェ曲線は最初は扱いが難しいです。しかし、コツを掴めば最も美しい切り抜きができる方法です。
重要なのは、アンカーポイントを打ちすぎないことです。
被写体を一周してパスが閉じたら、パスパネルを開きます。メニューバーの「ウィンドウ」から「パス」を選択すると表示されます。パスパネルの下部にある「パスを選択範囲として読み込む」ボタン(点線の円のアイコン)をクリックしてください。
するとパスが選択範囲に変換されます。あとはレイヤーパネルで「レイヤーマスクを追加」をクリックすれば、切り抜きが完成です。もしくは、画面上部のオプションバーに表示される「マスク」ボタンをクリックしても同じ結果が得られます。
③ フォトショップ切り抜き|その他の切り抜き方法
そのほかのフォトショップ切り抜き手順
- 自動選択ツール(マジックワンド):単色背景に有効
- 長方形選択ツール+トリミング:四角く切り取る場合
- クリッピングマスク:図形の形で切り抜く場合
- 背景削除ボタン:ワンクリックで背景を透明化(精度は低い)

状況によっては、他の切り抜き方法が適している場合もあります。
ここでは補足として、 フォトショップ切り抜きに使う4つの選択方法を簡単に紹介します。
| ツール名 | 特徴 | 適した用途 | 制限事項 |
|---|---|---|---|
| 自動選択ツール (マジックワンド) | クリックした箇所と似た色の領域を一括選択 | 単色背景の一括削除 | グラデーション背景や被写体と背景の色が近い場合は不向き。許容値の調整が必要 |
| 長方形選択ツール +トリミング | 画像全体を四角く切り取る | 写真の一部を使用、アスペクト比の変更 | 被写体と背景の分離はできない。厳密には「トリミング」であり「切り抜き」ではない |
| クリッピングマスク | 下のレイヤーの形に合わせて画像を切り抜く | 円形や図形の形で切り抜きたい時 | 自由な形状には対応できない。シェイプの形状に依存 |
| 背景削除ボタン | ワンクリックで背景を透明化 | 簡易的な作業 | 精度は「被写体を選択」より低い。仕上がり重視の場合は非推奨 |
これらの方法は、メインで使うというより、状況に応じて補助的に使う程度で十分です。
基本は「被写体を選択」、細部はクイック選択ツール、正確さが必要ならペンツール。この3つを使い分ければ、ほとんどの切り抜き作業に対応できます。
3. 髪の毛を綺麗に切り抜く|「選択とマスク」完全攻略
フォトショップ切り抜きで最も難しいのが、髪の毛などの細かい境界線の処理。
なぜなら「被写体を選択」だけでは、髪の毛の先端が消えたり、背景の色が残ってしまうから、です。
そこで使うのが「選択とマスク」機能です。この機能を使えば、複雑な髪の毛も驚くほど綺麗に切り抜けます。境界線調整ブラシで髪の毛をなぞるだけで、細かい毛先まで自動的に検出してくれます。
人物写真の切り抜きでは必須の機能を解説します。
①「選択とマスク」の起動と基本設定

ショートカットキーで開く方法と、メニューバーから開く方法があります。
ショートカット:選択範囲を作成した状態で、
- Windows=「Ctrl + Alt + R」
- Mac=「Command + Option + R」を押す。
メニューバーから開く方法
- 画面上部の「選択範囲」メニューをクリック
- 「選択とマスク」を選んでください。
どちらの方法でも同じ画面が表示されますが、作業効率を考えるとショートカットキーを覚えた方が良いです。
「選択とマスク」を開くと、画面右側にプロパティパネルが表示されます。ここで最も重要なのが「表示モード」の設定です。表示モードを変えることで、切り抜きの境界線が確認しやすくなります。
表示モードは全部で7種類ありますが、実際によく使うのは4つです。以下の表で各モードの特徴を確認してください。
| 表示モード | 表示内容 | 適した用途 | 備考 |
|---|---|---|---|
| オーバーレイ | 選択されていない部分が赤く表示 | 全体のバランスを見る | 初期設定。最も汎用的 |
| 黒地 | 背景が真っ黒になる | 明るい色の被写体を確認 | 白や明るい髪色の確認に最適 |
| 白地 | 背景が真っ白になる | 暗い色の被写体、髪の毛の境界確認 | 黒髪や暗い服の境界チェックに有効 |
| レイヤー上 | 実際のレイヤー構成で表示 | 切り抜き後の仕上がり確認 | 最終チェックに使用 |
これらの表示モードは、作業中に何度も切り替えながら確認します。
キーボードの「F」キーを押すと、表示モードを順番に切り替えられます。
②境界線調整ブラシツールで髪の毛を精密に調整
このツールは、なぞった部分の境界線を自動的に検出してくれる優れものです。
髪の毛と背景の境界をブラシでなぞるだけで、細かい毛先まで綺麗に選択できます。
境界線調整ブラシツール
- 境界線調整ブラシツールの選択
- 髪の毛の境界線をなぞるテクニック
- ブラシサイズの調整方法
- 「エッジの検出」の数値設定

画面左側のツールバーから「境界線調整ブラシツール」を選択します。
「エッジの検出」という項目にも注目してください。この数値を上げると、より細かい境界線を検出してくれます。髪の毛の場合は、5〜10ピクセル程度に設定するのが一般的です。数値が大きすぎると、背景まで一緒に選択されてしまうので注意が必要です。
| 設定項目 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|
| ブラシサイズ | 髪の毛の太さの2〜3倍 | 境界線のなぞりやすさに影響 |
| エッジの検出 | 5〜10ピクセル | 細かい境界線の検出精度 |
| スマート半径 | チェックON | 境界線の自動調整を有効化 |
③グローバル調整で仕上がりを完璧にする
境界線調整ブラシで大まかな選択ができたら、次は「グローバル調整」で全体を微調整します。
プロパティパネルの中程にある「グローバル調整」セクションを確認してください。ここで設定する数値が、仕上がりのクオリティを大きく左右します。
グローバル調整
- 「エッジをシフト」:境界線の位置調整(マイナス値で縮小)
- 「ぼかし」:境界を自然に滑らかにする
- 「不要なカラーを除去」:色かぶりを解消
- 出力設定:「新規レイヤー(レイヤーマスクあり)」を選択

グローバル調整で重要な設定項目は3つあります。以下の表で各項目の特徴と推奨値を確認してください。
| 設定項目 | 効果 | 推奨値 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| エッジをシフト | 境界線の位置を内側または外側に移動。マイナス値で選択範囲が縮小し、境界に残った背景色を削除 | マイナス10〜30% | マイナス値を大きくしすぎると髪の毛が細くなりすぎる。プレビューで確認しながら調整 |
| ぼかし | 境界線を滑らかにし、ギザギザを目立たなくする | 0.5〜2ピクセル | ぼかしすぎると輪郭がボヤける。髪の毛は自然な質感を残すため控えめに |
| 不要なカラーを除去 | 境界に残った背景色を自動削除(チェックボックス) | チェックON、量は50〜70% | 青空や白壁など色の強い背景で特に効果的。量を上げすぎると髪の毛本来の色まで変わる |
この設定なら、元の画像を残したまま、切り抜き結果が新しいレイヤーとして作成されます。
④べた塗りレイヤーで精度を上げる応用テクニック
「選択とマスク」の精度をさらに上げる方法。
それが、べた塗りレイヤーを使った応用テクニックです。このテクニックは、Adobe公式チュートリアルでも紹介されているプロの手法です。
ベタ塗りレイヤー
- 背景レイヤーを通常レイヤーに変換
レイヤーパネルで背景レイヤーを右クリックし、「背景からレイヤーへ」を選択してください。鍵マークが消え、編集可能な状態になります。 - 「レイヤー」→「新規塗りつぶしレイヤー」→「べた塗り」を背面配置
画面上部のメニューバーから「レイヤー」を選び、「新規塗りつぶしレイヤー」、「べた塗り」の順にクリックします。すると、カラーピッカーが表示されます。 - 画像内で使われていない色を指定
ここで重要なのが、画像内で使われていない色を選ぶことです。 - 表示モード「レイヤー上」で境界を確認しやすく

この状態で「選択とマスク」を開くと、表示モードを「レイヤー上」に切り替えた時、べた塗りの色が背景に表示されます。
髪の毛の境界線が非常に見やすくなるため、より正確な調整が可能です。
特に、髪の毛と背景の色が似ている場合に効果を発揮します。
4. 切り抜きができない原因と解決策2選
ここまで解説した方法を試しても、切り抜きができない場合があります。
その原因の多くは、レイヤーの状態に問題があるケースです。特に多いのが、背景レイヤーのロックとスマートオブジェクトの2つです。
それぞれの症状と解決方法を見ていきましょう。
①レイヤーが背景のままでロックされている

レイヤーパネルを見て、レイヤー名の右側に鍵マークがついているかチェックしてください。
鍵マークがある場合は、そのレイヤーがロックされています。また、レイヤー名が「背景」と表示されている場合も、同じ状態です。
症状❶
- 症状:削除キーが効かない、マスクが追加できない
- 確認方法:レイヤーパネルの鍵マークを確認
- 解決策:鍵アイコンをクリック、または「背景からレイヤーへ」で変換
解決方法は2つあります。
最も簡単なのは、鍵アイコンを直接クリックする方法です。レイヤーパネルで鍵マークをクリックすると、即座にロックが解除されます。レイヤー名も「背景」から「レイヤー0」に自動的に変更されます。
もう1つの方法は、レイヤーを右クリックして「背景からレイヤーへ」を選択することです。この方法なら、レイヤー名を自分で設定できます。ダイアログボックスが表示されるので、わかりやすい名前(例:「人物」「商品」など)を入力して「OK」をクリックしてください。
どちらの方法でも、ロックが解除されれば自由に編集できるようになります。
②スマートオブジェクトで編集できない
スマートオブジェクトは、画像を拡大縮小しても画質が劣化しない便利な機能です。しかし、スマートオブジェクトの状態では、直接的な編集ができません。切り抜きツールが使えない、レイヤーマスクが適用されないといった問題が発生します。
確認方法は、レイヤーパネルでレイヤーのサムネイル画像を見ることです。サムネイルの右下に小さなページマーク(書類のアイコン)がついていれば、そのレイヤーはスマートオブジェクトです。このマークは見落としやすいので、注意深く確認してください。
症状❷
- 症状:切り抜きツールが使えない、マスクが適用されない
- 確認方法:レイヤーアイコンに小さなページマークがある
- 解決策:右クリック→「レイヤーをラスタライズ」
解決策は、スマートオブジェクトを通常のレイヤーに変換することです。
レイヤーパネルで該当するレイヤーを右クリックし、「レイヤーをラスタライズ」を選択してください。すると、スマートオブジェクトが通常のピクセルレイヤーに変換されます。
ラスタライズすると、サムネイルからページマークが消えます。これで通常のレイヤーと同じように編集できるようになります。ブラシツールも使えますし、レイヤーマスクも正常に機能します。切り抜き作業も問題なく進められます。
5. 切り抜いた画像を背景透過で保存する正しい手順
切り抜き作業が完了しても、保存方法を間違えると背景が透明にならず、白い背景が残ってしまいます。
背景を透明な状態で保存するには、PNG形式を選び、「透明部分」の設定を有効にする必要があります。
正しい手順を見ていきましょう。
①PNG形式で背景透過を実現する書き出し設定

正しい手順で保存しても背景が透明にならない場合、レイヤー構成に問題がある可能性があります。
まず、レイヤーパネルで「背景」という名前のレイヤーが残っていないか確認してください。背景レイヤーがあると、その色が保存されてしまいます。
次に、レイヤーマスクが正しく適用されているか確認します。レイヤーマスクのサムネイルで、白い部分が表示される領域、黒い部分が非表示になる領域です。最後に、JPEG形式で保存していないか再確認してください。JPEGは透明情報をサポートしていません。必ずPNG形式を選びましょう。
背景が透明にならない?チェックポイント
- 背景レイヤーが残っていないか
- レイヤーマスクが正しく適用されているか
- JPEG形式で保存していないか(JPEG は透過非対応)
フォトショップ切り抜き・まとめ
フォトショップの切り抜きは、正しい手順とツールの使い分けを理解すれば、簡単です。
ご紹介した手順で、ほとんどの場合、問題ないはず、です。
が、重要なのは、レイヤーマスクを使って非破壊編集を心がけること。なぜなら、削除キーで背景を消してしまうと、後から調整できないから、です。
まずは、人物写真やペットの写真、商品画像など、さまざまな切り抜きに挑戦してみてください。最初は時間がかかるかもしれませんが、繰り返し練習することで作業スピードは確実に上がります。ショートカットキーを覚えれば、さらに効率的に作業を進められます。
>> イラレ不透明マスクの完全ガイド!使い方と応用テクニックも
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!






