
今回はPremiere Proで人物を切り抜く方法をご紹介します。
一見難しそうですが、手順さえわかればそれほど難しくはありません。
切り抜きや合成ができるようになると、さらに動画表現の幅が広がり、動画編集が楽しくなること間違いありません。
目次
Premiere Proで人物を切り抜く方法は?
Premiere Proで人物を切り抜く方法は大きく2つあります。一つはグリーンバッグを使った方法、そしてマスクを使った方法です。
Premiere Proで人物の切り抜き① グリーンバッグ(クロマキー)
Premiere Proできれいに人物を切り抜き、他の背景と合成する場合には、グリーンバッグを利用する方法、いわゆるクロマキー合成が一般的です。
次に紹介するマスクを使っての切り抜きは、細かい調整が難しく、フレームごとに人物の境界線の調整が必要です。
時間もかかるため、Premiere Proのみを使用して動いている被写体(人物)に対してきれいに切り抜きを行う場合、グリーンバッグもしくはブルーバッグを利用して撮影することを強くおすすめします。
Premiere Proで人物の切り抜き② マスク
もう一つの方法は楕円形ツールや多角形ツール、ペンツールを利用しマスクで切り抜く方法です。
こちらの方法なら、編集者が手動で切り抜きたい部分を選択するため、グリーンバッグでの撮影は必要ありません。
しかし、クロマキーのようにきれいに切り抜くことは難しいです。楕円形ツールや多角形ツールを使えば丸や四角に切り取られます。ペンツールで細かくかたどることも可能です。
が、フレームごとに切り抜きの作業が必要になるため、繊細で膨大な作業が必要となります。
簡単にワイプとして利用したり、そこまでこまかく切り抜く必要がなかったりする場合には、四角形ツールなどでマスクを使う方法が簡単です。
After Effectのロトブラシを使用して切り抜いて合成する
どうしてもグリーンバッグではない動画から人物をきれいに切り抜きたいという場合は、Premiere Proのみでは難しいのが現状です。
もしAdobe CCを利用していて、After Effectが利用できるという方は、After Effectのロトブラシという機能を使うと比較的簡単に切り抜きを行うことが可能です。
今回はPremiere Proでの切り抜き方法の記事のため、詳しい解説は省きますが、以下の動画で詳しく解説されています。ご興味ある方はご覧ください。↓
グリーンバックで撮影した人物を切り抜く方法
まずはグリーンバックを利用した切り抜きの具体的な方法をご紹介します。
素材を読み込みタイムラインに並べる
まずは背景となる動画と切り取って合成したい動画を読み込みタイムラインに並べます。この時背景を下(V1)、切り抜く人物が映った動画を上(V2)においてください。
Ultraキーを追加する
エフェクトパネルから「ビデオエフェクト」→「キーイング」→「Ultraキー」をダブルクリックしてエフェクトコントロールに追加をします。
キーカラーで消したい背景の色を選択する
エフェクトコントロールに追加したUltraキーを開き、削除したい背景の色をスポイトツールで選択します。
すると、選択した色が透明になり、被写体の身を切り抜くことができました。
クロマキー合成部分の強弱を調整する。
背景のグリーンバッグに影などの濃淡がある場合、きれいにグリーンバッグが消え切らないときがあるので、Urtraキーの出力の強弱を調整します。
この時出力を「コンポジット」から「アルファチャンネル」に変えると、切り取る画像が白黒で表現されます。真っ黒の部分が消える箇所、真っ白の部分が切り取られる個所です。
が、灰色の部分はうっすらと残るので、強弱を調整すると残っている部分もきれいに消すことが可能です。
大きさや位置、色味を調整する
2つの違う映像を合わせると多くの場合背景と被写体の雰囲気や色味が異なるため、なじませるために調整し、ポジションも調整する必要があります。
大きさと位置の調整は「エフェクトコントロール」の「モーション」を開き、「位置」や「スケールを」をクリックすることで調整することが可能です。
色味の調整は、必要なカラー補正のエフェクトを追加して調整しましょう。
グリーンバッグを使ったクロマキー合成の方法はこちらの動画で詳しく解説されています。
Premiere Proのマスクで人物を切り抜く方法
続いてPremiere Proのマスク機能を利用して切り抜く方法をご紹介します。
マスクはクロマキーに比べてきれいにかたどることが難しく、形が複雑で動きのある被写体の場合、フレームごとにマスクを調整する必要があります。
素材を読み込みタイムラインに並べる
背景と切り取る動画を読み込みます。基本的にここはグリーンバッグを使ったクロマキー合成と同じです。背景を下(V1)、切り抜く被写体(人物)の動画を上(V2)になるよう注意してください。
ペンツールで被写体を選択する
「エフェクトコントロール」→「不透明度」からマスクを作るツールを選択します。
楕円形ツールなら楕円形に、四角形ツールなら四角形に切り取ることができます。今回は自由に形を作ることのできるペンツールを利用します。
被写体に沿ってクリックしながら輪郭をなぞります。あとで微調節が可能なので、この時点では大まかにかたどるだけで大丈夫です。
ペンツールで被写体を囲むと自動で背景が消されます。ここでペンツールを使ってアンカーポイント移動させて、輪郭を微調整することが可能です。
この時のマスクは被写体に自動追尾などはしないため、動きのある被写体(人物)の場合はフレームごとにこの微調整をする必要があります。
微調整が完了したらシークエンスで背景の動画を選択することでマスクの輪郭が消え、切り抜きの確認ができます。
マスクの境界線を調整する
ペンツールで選択をすると、どうしてもカクカクとした輪郭になってしまします。
マスクを作るとエフェクトコントロールにマスクの輪郭や不透明度などを調整できるようになります。マスクの輪郭をぼかすなどして、境界線を目立たないようにすると背景となじむようになります。
大きさや位置、色味を調整する
切り取りが完了したら大きさと位置、色味を調整し背景となじませます。やり方は上記で紹介したクロマキー合成の場合と同じです。
手動で切り抜く場合の方法は以下の動画で分かりやすく説明されています。
Premiere Proの機能を使って人物の切り抜きをしよう
今回はPremiere Proでの人物の切り抜きの方法をご紹介しました。
のちに違う背景画像や写真を合成するとわかっている場合には、グリーンバッグで撮影しておくと作業が格段に楽になります。
被写体の動きも少なく、ワイプのように四角く切り取ればいい場合はマスクでの切り取りが簡単です。
どのような切り取りをしたいのか、使う動画素材がグリーンバッグ撮影可能なのかなどを考慮し、どちらの切り抜き方法が適切かを選択すると良いでしょう。
今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!
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