一眼レフ・ビデオカメラを使った動画撮影にも、フレームレートとシャッタースピードには、基本となる考え方があります。
そこで、今回は、動画撮影時における
●フレームレートとは?
●シャッタースピードとは?
●フレームレートとシャッタースピードの関係とは?
●フレームレートの適正数値は?
●シャッタースピードの適正数値は?
●撮影状況による使い分け
について、ご紹介する記事です。
どうぞ、最後までご高覧ください。
目次
1.フレームレートとシャッタースピードの基礎知識
まずは、シャッタースピードとフレームレートについて、それぞれの基礎知識をご紹介します。
(1)シャッタースピードとは?
シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開いている時間のことです。
シャッタースピード=カメラのシャッターが開いている時間
写真撮影と同様に、動画の撮影にもシャッタースピードの設定は必要です。
写真撮影だと
●シャッタースピードが速い=ブレない
●シャッタースピードが遅い=ブレやすい
写真が撮れます。
動画は、これらの写真をつなぎ合わせたものだと考えましょう。
なので、動画を構成する一枚一枚の写真は、動画において、とっても大事な要素になります。
(2)フレームレートの基礎知識
次に、フレームレートとはなにか?
それは
フレームレート=1秒間に動画を構成する静止画の枚数(コマ数)
です。
つまり、
●動画中の一枚一枚の写真の枚数がフレームレート(fps)
になります。
パラパラ漫画を思い浮かべるとわかりやすいです
(3)フレームレートはパラパラ漫画のイメージ
フレームレートは、少し理解しづらいので、パラパラ漫画で例えてみましょう。
たとえば『人間がジャンプして天井に頭をぶつけて落ちてくる』というパラパラ漫画を作ったとします。
このとき、ジャンプしてから、落ちてくるまでの動きを表現した時に、下記のどちらが滑らかでしょうか?
絵の数=30枚
VS
300枚の絵で表現する
もう、お分かりですよね?
枚数が多いパラパラ漫画の方が、圧倒的に滑らかな動きになります。
fpsが大きい=滑らか
fpsが小さい=カクカクした動画
になります。
2.フレームレートとシャッタースピードの関係を理解しよう
では、動画撮影で『シャッタースピード』と『フレームレート』が、どう関係するのか?
について、ご紹介します。
❶シャッタースピードはフレームレートで決まる
まずは、シャッタースピードはフレームレートで設定されると覚えておきましょう。
シャッタースピードはフレームレートで設定される
フレームレートを決めると、シャッタースピードの下限が決まります。
なぜなら、フレームレートの設定値未満の値で、シャッタースピードは設定できないから、です。
シャッタースピードが1/20だと20枚しか絵が集まらないんです
fps=30だと『30分の1秒以下』のシャッタースピードは設定できない
❷シャッタースピードとフレームレートの設定値は?
シャッタースピードは、フレームレートの2倍の数値にします。なので
fps:30=シャッタースピード1/60秒
ただし、後述するフリッカー現象に対応するため、1/50秒で撮影する場合もあります。
❸仮にフレームレートを120にした時のシャッタースピードは?
ハイスピード撮影でもフレームレートの2倍原則は、そのままです。
ただし、シャッターが開いている時間が短いので、その分、十分な明るさが必要です。
シャッタースピードやフレームレートの決め方は?
シャッタースピードとフレームレートの関係は、お分かり頂けたと思います。
では、肝心のフレームレートは、どういう基準で設定すれば良いのでしょうか?
①フレームレート(fps)の決め方は?
代表的なフレームレートの規格をご紹介します。
24fps | 映画で採用。映画のような表現効果 |
25fps | 欧州、PAL圏内でテレビやDVDに採用 |
30fps | 日本国内でテレビやDVDに採用 |
50fps | 欧州、PAL圏内でテレビやDVDに採用。25fpsより滑らかな映像 |
60fps | 日本国内でテレビやDVDに採用。30fpsより滑らかな映像 |
通常の設定では、30fpsでの撮影がオススメ。
さらに滑らかな映像が必要であれば、60fpsに設定しましょう。
②動画のシャッタースピードを決める要因はフリッカー
「フリッカー」という言葉をご存知でしょうか?
室内で動画を撮影した際に、画面がチカチカしてしまうこと、です。
それが「フリッカー」現象
このフリッカーの原因は蛍光灯です。(LEDが増えて見る機会は前より減っていますが、、、)
左は、蛍光灯の点滅とシャッタースピードのタイミングが不一致の場合です。
逆に右は、そのタイミングを一致させた図です。
このタイミングを合わせることで、画面のチラつきがなくなり、フリッカーが解消されます。
なので
動画撮影のシャッタースピード=1/50秒、もしくは1/100秒に設定
ちなみに、西日本の電源周波数は60ヘルツ。
なので、西日本の撮影では、シャッタースピードを1/60秒、もしくは1/120秒に設定します。
屋外撮影時で明るすぎる!そんな場合の設定は?
一眼レフカメラで、撮影する醍醐味は、撮影対象の背景を思いっきりボカすこと。
そのためには、露出を上げて、光を多く取り込むようにします。
すると、背景がボケた撮影ができます
露出を上げる=F値を下げる
この場合、天気のいい日の屋外撮影では、背景が白飛びしてしまいます。
そんな時におすすめの対処法が2つ!
<1>シャッタースピードを上げる
シャッタースピードを上げると、レンズに入る光の量が減ります。
シャッタースピードが早い=明るさを抑えられる
ので、白飛びを防ぐことになります。
ただし、動画撮影では、シャッタースピードを上げると、パラパラ漫画のような不自然な映像になってしまいます。
そこでおすすめの、2つ目の方法が NDフィルターを使う
<2>NDフィルターを使う
NDフィルターとは、レンズの先につけるサングラスのようなものです。
これを使えば大概の白飛びは回避することができます。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、参考にしてください。
動画を編集する時もフレームレートは変えられる!
Ⅰ.撮影してからフレームレートを変更する
フレームレートは、撮影後に変更することも可能です!
しかし、フレームレートは下げることはできても上げることはできません。
動画を構成する静止画の枚数が足りなくなってしまうから
ここからは、フレームレートとスローの関係を紐解きます。
Ⅱ.フレームレートとスロー
フレームレートに関して、もう一つ大きく関係してくるのがスローモーション撮影です。
30fpsで撮影したものを、スローにしようとすると、カクカクしたスローになってしまいます。
これは、1秒に30枚で構成された動画を2秒にすると、1秒間に15枚のコマしかない動画になってしまうから、です。
Ⅲ.滑らかなスロー再生にするフレームレートは?
そのため、滑らかなスロー再生には、撮影時に高いフレームレートで撮影する必要があります。
それを編集時に、フレームレートを下げれば、滑らかなスロー映像にできます。
iPhoneをはじめ、さまざまなカメラに搭載されているスローモーション記録は、これを利用しています。
例えば
フレームレート240fps撮影
↓30fps再生
8倍のスローモーション動画
フレームレート24fps撮影
↓30fps再生
コマ数が不足して加工ができない
一方、120fpsで撮影した画像を映画風にしようと思っても、映画風の映像にはできません。
フレームレートとシャッタースピードの決め方は?まとめ
今回は一眼レフ・ビデオカメラでの動画撮影に関してフレームレートとシャッタースピードの視点からお伝えしました!
原理をよく理解した上で、日々の撮影に活かしてみて下さい!
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!