Photoshopでカラー画像を白黒変換したい。でも、どの方法を選べばいいか迷っていませんか?
実はPhotoshopには白黒化の手法が複数あり、やり方によって仕上がりの印象が大きく変わります。さらに、ただ色を抜くだけでなく、トーンや雰囲気までコントロールできるのがPhotoshopの強みです。
そこで、今回の記事では
今回の記事で分かること
- Photoshopを使って白黒画像を作る具体的な方法
- 初心者向けの簡単テクニック
- プロが実践する応用テク
をご紹介します。

執筆者
この記事は、動画制作・デザインを手がける「ワイラボ」の代表が執筆しています。普段は企画やディレクションの立場から、現場チームと連携して映像制作に関わっており、その経験から得た視点でお話ししています。
1. Photoshopで白黒画像を作る|4つの方法
Photoshopで白黒画像を作るとき、主に使われる機能は4つあります。
それぞれの特徴を理解することで、目的に合った方法を選べるようになります。
それは、
4つの方法
- 白黒調整レイヤー
- 彩度を下げる
- チャンネルミキサー
- 2階調化
です。
下記にそれぞれの特長をまとめた比較表をご覧ください。
方法名 | 難易度 | 特徴 | 向いている用途 |
---|---|---|---|
白黒調整レイヤー | 中 | 色の情報を分析して、モノクロに変換する機能。 もっとも自然でバランスの良い白黒画像が作れる | 写真作品 ポートレート |
彩度を下げる | 低 | 色相・彩度の調整で彩度を0にするだけ。最もシンプル。 が、コントラストが弱く、のっぺりした印象になりやすい | ドキュメント 下書き用 |
チャンネルミキサー | 高 | RGBのチャンネルごとに強弱を調整して白黒を作るやり方。 色の要素をコントロールして、写真の雰囲気を変える。上級者向け | アート表現 プロ向け制作 |
2階調化 | 中 | 完全に白と黒だけに分ける。漫画やポスター風の仕上がり。 ただし階調がなく、自然な写真にならない | 漫画風 Gデザイン |
一つずつ、詳しく見ていきましょう。
Photoshopで白黒画像を作る① 白黒調整レイヤー

最も一般的かつ、自然で美しい白黒画像が作れるのが「白黒調整レイヤー」です。
この方法のメリットは、色ごとに明るさを調整できる点です。たとえば、青空を暗くしたり、肌の色を明るくするなど、細かい表現が可能になります。
使い方は簡単で、「レイヤー」→「新規調整レイヤー」→「白黒」を選ぶだけ。すると、自動的に画像がモノクロに変わります。右側のプロパティで、各色のスライダーを動かして好みの明るさに調整できます。

この方法の最大の特徴は、「後からいくらでも調整できる」という柔軟性。レイヤー構造を保つことで、色味のバランスや他のエフェクトとの組み合わせもしやすくなります。また、モノクロ変換の際に「フィルター効果」を使うことで、赤外線風やセピア風など、表現に幅を持たせることもできます。
ポートレート写真や風景写真など、白黒のトーンが作品の印象を左右する場面では、この方法が最適です。
Photoshopで白黒画像を作る ②彩度をゼロにする

作業スピードを重視するなら、「彩度を下げる」という最もシンプルな方法があります。
まず、「イメージ」→「色調補正」→「色相・彩度」を開きます。そして、彩度スライダーを一番左(-100)まで下げればOK。
この方法のメリットは、操作が圧倒的に簡単なこと。とにかくすぐに白黒画像が欲しいという場合には最適です。ドラフトやモックアップを作るときなど、時間をかけたくない作業に向いています。

ただし、仕上がりはやや単調になりやすく、コントラストも弱めの傾向。もとの画像にあった色のニュアンスが完全に消えます。
最速で白黒にしたいときには有効です。が、最終的な作品制作には向かないため、あくまで「仮の加工」や「ラフ作成用」として使うのが現実的です。
Photoshopで白黒画像を作る ③チャンネルミキサーを使う

よりこだわった白黒画像を作りたいなら、「チャンネルミキサー」を使う方法がおすすめです。
この機能は、RGB(赤・緑・青)のそれぞれのチャンネルを任意の割合でブレンドして、モノクロ画像を作る仕組みです。
操作手順としては、「レイヤー」→「新規調整レイヤー」→「チャンネルミキサー」を選び、プリセットを「モノクロ」にチェックします。すると、RGBそれぞれの比率を自分で調整できるようになります。

この方法の強みは、「光の捉え方」をコントロールできる点にあります。
たとえば、肌の赤みを強調したいときは赤チャンネルを強くすればいいですし、背景の緑を暗くしたいなら緑チャンネルを下げればOKです。
また、モノクロの写真には「階調(トーン)」が非常に重要です。チャンネルミキサーなら、このトーンを自分好みに設計できます。ポートレート、建築、風景写真など、作品として仕上げたいときにとても重宝します。
ただし、操作はやや難しいです。少しでもバランスを間違えると画像が暗くなりすぎたり、不自然になるから、です。
Photoshopで白黒画像を作る ④2階調化する

アート系の仕上がりを目指すなら、「2階調化」という手法があります。
これは中間色を使わず、完全に白と黒だけで画像を構成する方法です。強烈なコントラストが出るため、ポスターや漫画風のビジュアルにぴったりです。
操作方法は、「イメージ」→「色調補正」→「2階調化」を選択。スレッショルド(しきい値)を調整して、どこから黒、どこから白に分けるかを決めます。

この方法の魅力は、シンプルなのにインパクトのある表現ができる点です。
情報量が少ない分、形や構図が強調され、デザイン要素としての使い勝手も良いです。アイコンやTシャツデザインなどでもよく使われます。
ただし、グラデーションや微妙な陰影を表現したい場合には向きません。写真らしさはほとんど残らず、完全にグラフィック的な印象になります。
「写真」というより「表現素材」として白黒化を考えている場合には、積極的に取り入れてみる価値があります。中間調をあえて排除することで、新しい視点のデザインが生まれる可能性もあります。
2. 効果的な白黒画像に仕上げるテクニック
白黒画像は「色がない」ぶん、ごまかしが効きません。
だからこそ、ちょっとした調整や工夫がそのまま仕上がりに直結します。ただモノクロに変換するだけでは「それっぽい」画像になってしまい、印象に残らないのです。
ここからは、Photoshopならではの機能を使って、白黒画像をワンランク上に仕上げるためのテクニックをご紹介します。
①スマートフィルターで後から編集しやすく
画像編集において、あとからの修正がきかないのは正直つらいです。
Photoshopの「スマートフィルター」を使えば、フィルター処理をいつでもやり直せるので、安心して編集ができます。
方法は簡単で、まず画像レイヤーを右クリックして「スマートオブジェクトに変換」します。その上で「フィルター」→「Camera Rawフィルター」や「2階調化」などの処理を加えれば、それらは“スマートフィルター”として適用されます。
この方法の良さは、何度もやり直しができることです。仕上がりを見ながら微調整できるため、細かいコントラストやトーンのバランスを自分の目で見ながら調整できます。しかも、非破壊で編集できるので、失敗を恐れず作業できます。
白黒画像は、あとから「やっぱり違うな」と思いがち。だからこそ、スマートフィルターは白黒化の強い味方になります。
②コントラストを意識した調整で印象UP
白黒画像は「光と影のドラマ」が命です。
色がない分、コントラストの強さがそのまま印象を左右します。逆に言えば、コントラストがぼやけていると、平坦でのっぺりした印象になってしまいます。
そこで活用したいのが「トーンカーブ」や「レベル補正」です。どちらも明暗のコントロールができる調整機能で、画像全体のコントラストを自在に操作できます。
たとえば、背景を暗く落とすことで主役を引き立てたり、逆に明るくすることで柔らかい印象を作ったりできます。特にポートレートでは、肌のトーンや目元の明るさなどを細かく調整するだけで、写真の印象がガラッと変わります。
注意点としては、やりすぎると不自然になってしまうことです。白飛びや黒つぶれが起きないよう、ヒストグラム(階調の分布)を見ながら慎重に調整するのがコツです。
細かいコントラスト調整こそが、白黒画像を“作品”に昇華させる大切な工程なのです。
③被写体を強調するための「部分白黒」テク
一部分だけカラーを残して、それ以外を白黒にする「部分白黒」。
この手法は、インパクトを出したいときに有効な手法です。特定の要素だけを強調できるため、視線誘導やストーリー性のある表現が可能になります。
やり方は、まず全体を白黒にした後、マスクを使って一部のカラーを復元する方法が一般的です。たとえば、「白黒調整レイヤー」のマスク部分を黒いブラシで塗ると、その部分だけカラーが復活します。
この方法の面白いところは、視覚的に“違和感”をつくれることです。たとえば、赤いバラだけをカラーにして、それ以外を白黒にする。そうすると、自然とそのバラに視線が集中し、意味を持たせることができます。
広告やアート作品、SNS用の印象的な写真にしたい場合にぴったりです。ただし、多用すると安っぽく見えるので、使い所はしっかり見極める必要があります。
「ここぞ」という場面で使えば、見る人の記憶に残る写真が作れるテクニックです。
④フィルム風、ノスタルジック風などエフェクトの活用
白黒画像に“味”を出すなら、エフェクトを加えるのも一つの方法です。
中でも人気が高いのが「フィルム風」「ノスタルジック風」といったアナログ感を再現するスタイルです。
Photoshopでは、「Camera Rawフィルター」や「ノイズ追加」「粒子エフェクト」などを使って、昔のフィルム写真のようなざらつきや色ムラを加えることができます。また、トーンカーブでハイライトを少し持ち上げて“フェード”感を出すと、一気にレトロな印象になります。
さらに、光漏れ(Light Leak)風のエフェクトを重ねると、まるで古いカメラで撮ったような味わいが出せます。こうした加工は「オシャレな雰囲気」を求める若い層にも人気です。
もちろん、エフェクトをかけすぎるとチープになることもあるので、さじ加減が重要です。ただ、仕上がりの印象をガラッと変えたいときには、とても有効なテクニックです。
「ただ白黒にするだけじゃ物足りない」と感じたら、ぜひ試してみてください。
3. どの方法を選ぶ?手法ごとの比較とおすすめ
ここまでいろいろな白黒化の方法をご紹介してきました。
が、「結局どれを使えばいいの?」と迷っている方も多いはずです。白黒画像の作り方は複数あって、どれも一長一短。自分に合った方法を見つけるには、それぞれの特徴をしっかり比較することが大切です。
今回は、比較しやすいように用途別・スキル別でまとめてみました。
①それぞれの手法のメリット・デメリット
Photoshopをつかった4つの白黒化。これには、それぞれに向き不向きがあります。以下の表に主な特徴をまとめました。
手法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
白黒調整レイヤー | 色ごとの明るさを細かく調整できる王道の方法 | 自然で美しいモノクロが作れる | 初心者は細かい調整に戸惑うことがある |
彩度をゼロにする | 最速で白黒にする単純な方法 | 操作が簡単。すぐに結果が見られる | 階調が浅く、仕上がりがのっぺりしがち |
チャンネルミキサー | RGBの比率を自由に調整して独自の白黒を作成 | 狙ったトーンが出しやすい。表現力が高い | バランス調整が難しく、知識が必要 |
2階調化 | 白と黒だけで構成されたアート寄りの手法 | 強烈な印象を与える。ポスター向き | 階調がなく、自然な表現には不向き |
このように、目的やスキルに応じて向いている方法が異なるため、「とりあえず全部試してみる」のもひとつの手です。
②初心者におすすめのやり方はこれ
初心者にもっともおすすめなのは、「白黒調整レイヤー」です。
なぜなら、非破壊編集ができて、失敗してもやり直しがきくからです。さらに、操作も慣れてしまえば直感的に調整できるので、経験を積むことで応用力もつきます。
最初は自動設定のままでも十分に使えますし、少しずつスライダーを動かしていくことで、画像のどこがどう変化するのかを実感できます。白黒画像の「トーン設計」を学ぶ入門として最適な方法です。
逆に「彩度を下げるだけ」の方法は、手軽ではありますが、学びにはあまりつながりません。長期的にPhotoshopを使いこなしていきたいなら、多少時間がかかっても調整レイヤーから始めたほうが確実です。
白黒調整レイヤーなら、「レイヤー構造」や「マスク」などPhotoshopの基本操作も同時に身につけられます。ただ色を抜くだけではなく、編集力そのものを養う第一歩になります。
③プロがよく使うテクニックとは?
では、プロのフォトグラファーやデザイナーが白黒画像を作るときは、どうするか?
結論は「チャンネルミキサー」や「Camera Rawフィルター」を駆使します。理由は、細部までトーンコントロールができるからです。
たとえば、ポートレートでは肌の赤みを引き立てたり、背景の緑を落としたりと、明暗バランスで主役を浮かび上がらせる技術が求められます。チャンネルミキサーを使えば、まさにその調整が可能です。
また、Camera Rawフィルターを通すことで、ノイズや明瞭度、シャドウ、ハイライトなど、より詳細な補正が行えます。フィルム風の味付けやフェード感も加えやすく、作品としての完成度を上げたいときには欠かせないツールです。
ただし、プロの手法は「知識と経験」が前提になります。いきなり高度な設定に挑むよりも、まずは調整レイヤーで基本をマスターし、少しずつ応用にステップアップしていくのが現実的です。
プロも初心者も、最終的に目指すのは「伝わる写真」です。そのためには、自分の表現に合った方法を選ぶことが何よりも大切です。
4. 白黒画像に関するよくある質問と参考リソース
白黒画像の作り方を、いざ実践すると細かな疑問が出てきます。
この章では、よくある質問への答えと、役に立つリソースをご紹介します。
JPEGでも白黒加工はできるの?
はい、JPEG画像でも白黒加工は可能です。ただし、RAWと比べると「編集の自由度」は明らかに落ちます。なぜなら、JPEGはすでに圧縮された状態で保存されており、階調(明暗の幅)や色情報が少ないからです。
Photoshop上では白黒調整レイヤーやチャンネルミキサーなどの機能は使えますが、極端な補正をかけると画像が破綻するリスクがあります。たとえば、暗部を無理に明るくしようとするとノイズが目立ったり、色がにじんだりすることがあります。
そのため、本気で作品づくりをするならRAWデータでの編集が理想的です。ただ、ブログ用画像やSNS投稿など、多少の画質劣化が気にならない場面であれば、JPEGでも十分対応できます。
印刷時に注意すべきことは?
白黒画像を印刷する場合、画面上で見た印象と紙に出力した結果がかなり変わることがあります。なかでも一番の落とし穴は「コントラスト不足」です。
画面だとハイライトやシャドウがくっきり見えていても、印刷では中間調がつぶれて、全体が灰色っぽくなるケースがよくあります。特に家庭用プリンターや、安価なレーザープリンターでは階調が表現しきれません。
この問題を防ぐには、印刷前に「出力用に調整」する必要があります。トーンカーブでやや明るめに補正したり、ヒストグラムで階調の偏りをチェックすることが重要です。
また、出力先が商業印刷の場合は、CMYKモードへの変換も必要です。
おすすめのチュートリアルは?
Photoshopの白黒加工には、公式やプロのクリエイターが公開しているチュートリアルがおすすめです。
サイト名 | 特徴 | URL(検索推奨) |
---|---|---|
Adobe公式チュートリアル | 基本機能の使い方を体系的に学べる | 「Adobe Photoshop 白黒 チュートリアル」 |
YouTube(Photoshop講座) | 実際の画面操作を見ながら学べてわかりやすい | 「Photoshop 白黒 加工」などで検索 |
S.Design.Labo | デザイン初心者向けの実践解説が豊富 | 「Photoshop 白黒 sdesign」 |
おすすめの白黒テンプレートは?
白黒写真用のプリセットやテンプレートもたくさんあります。Lightroomとの連携で使えるモノクロプリセットも人気です。Adobe StockやEnvato Elementsなどの有料素材サイトには、商用利用できる高品質なテンプレートも揃っています。
5. Photoshopで白黒画像を作る方法|まとめ
Photoshopでの白黒画像の作成は、ただ「色を抜く」だけではありません。
トーンの選び方、コントラストの付け方、さらには部分的な強調やエフェクトによって、作品の印象は驚くほど変わります。
最初は簡単な方法からでOKです。そこから少しずつ調整や工夫を重ねることで、白黒でも“語れる写真”が作れるようになります。この記事が、あなたの表現の幅を広げるヒントになれば幸いです。
ぜひ、自分なりの「白黒の世界」をPhotoshopで表現してみてください。
>> Photoshop 値段|最安で買う方法と買い切り版について
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今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!